■リバウンダーとしての非凡な才能を見抜いた花形透

 翔陽は県内一の高さを誇り、リバウンドに強みをもっているチームだ。しかし、そんなリバウンド陣をもってしても、リバウンダーとしての素質を開花し始めた桜木に次々とリバウンドを取られてしまう。

 湘北との試合中、翔陽の“ゴール下の要”であるセンター花形透は「あっという間に このオレや赤木よりも上へ…!!」「こいつは瞬発力が全然ちがう!!」と、驚いた様子を見せていた。

 ちなみに、湘北に負けてからも「オレは桜木のことは認めてるんだがな…」など、潔く敵に賛辞を贈っている花形。ライバルを評価する爽やかな描写があるのも、『SLAM DUNK』の魅力だと思う。

■運動能力の高さを認めつつ素人としての実力をあらわにさせた高頭監督

 智将として恐れられ、安西監督からもその手腕を称賛されている海南大附属の高頭監督もまた、桜木の身体能力を評価している。

 しかし、さすが智将といわれているだけあり、「すごいジャンプ力やリバウンドに 惑わされちゃいかん」「運動能力はあっても 彼は あくまで三か月」と、桜木の弱点をすぐに見抜き対策を講じ、素人としての実力をあらわにさせた。

 予測がつかない桜木のプレイスタイルにも動じずにその本質を見抜き、蚊帳の外に追いやることに成功した高頭監督。能力はきちんと評価しつつ、効果的な対策を講じた彼もまた、素晴らしい監督だ。

■桜木のワンプレーで身体能力の多くを読み取った河田雅史

 最後に紹介するのは、高校最強ともいわれている実力を持つセンター・山王工業の河田雅史だ。彼もまた桜木の身体能力を絶賛している。

 自身のシュートを阻もうとした桜木の滞空時間の長さだけでなく、着地後すぐに全速力で走り出した彼を冷静に観察して心の中で呟いた。「ズイブン長えこと宙にいるんだな」「そして着地するや 速攻の先頭を駆けるあの脚力……!!」「ブロックにフルパワーでジャンプしたあと あれだけのダッシュは並じゃできねえ」「誰もそんなとこ見てやしねーだろうが……」と。

 多くのライバルや監督たちが桜木を評価する言葉のなかでも、この河田のセリフは筆者のもっとも気に入っている言葉だ。桜木もすごいが、ワンプレーでここまで評価できる河田のすごさがにじみ出ているセリフではないだろうか。

 

 桜木の高校生離れしたジャンプ力、スタミナ、ダッシュ力、パワーなどの表現は、見ていて惚れ惚れしてしまう。そうした身体能力の高さを目の当たりにしてきたライバルや監督たちが驚き、賞賛の言葉をかけてしまうのも分かる気がする。
 映画『THE FIRST SLAM DUNK』でも、そうした桜木の活躍を見てみたい。

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