『SLAM DUNK』30周年を記念し、新作アニメーション映画として12月3日から公開された、『THE FIRST SLAM DUNK』。わずか9日間で観客動員数202万人、興行収入が30億を記録し、今、あらためて注目が高まっている。
本作の魅力の一つに、登場するキャラクターたちの運動能力の高さがある。とくにピカイチのポテンシャルを見せつけたのが、主人公・桜木花道であろう。バスケットボール歴4か月で全国の猛者を相手にできたのも、持ち前の運動能力があったからこそ。
今回は、桜木と出会ってすぐにそのポテンシャルに気づいた人物たちの着眼点について紹介したい。
■もっとも早く桜木の身体能力に気づいた赤木晴子
桜木がバスケットボールを始めたのは、湘北バスケ部キャプテン赤木剛憲の妹・赤木晴子からバスケ部に勧誘されたことがきっかけだ。その時点ではまだ、晴子は桜木の潜在能力に気づいていたわけではなく、単に高身長や筋肉など体格を見て声をかけただけだった。
その後、体育館で晴子は桜木に「スラムダンク」について説明するのだが、片手でボールを軽々と掴める桜木にやってみてとお願いする。シュートは外れてしまったものの、ボードに頭をぶつけてしまうほどの驚異的なジャンプ力を見た晴子は、彼がバスケ部の救世主になると確信。「スゴイジャンプ力だわ!!」「桜木君 バスケット部に入るべきよ絶対!!!」と、はしゃぐのだった。
忘れてしまいがちだが、もっとも早く桜木の身体能力に気づき、バスケットボールをすすめた晴子。彼女がいなければ『SLAM DUNK』が始まらなかったことを考えると、素晴らしい先見の明を持っていたといえるだろう。
■桜木の素質に「百年に一人の逸材」と惚れ込んだ青田龍彦
「あのパワフルな体育教師二人を いとも簡単に投げとばしてしまうあの怪力!!」——これは桜木を“百年に一人の逸材”と呼ぶ、湘北柔道部の主将・青田龍彦のセリフだ。
すでにバスケ部に入部している桜木を、柔道部に勧誘するために青田は画策する。ほかにも「オマエは柔道をやるために生まれてきた男だ!!」「あの体格!! あのパワー!! そしてあの度胸のよさ!!」と、惚れ込む様子を見せていた。
桜木は自ら“バスケットマンだから”と入部を拒否したものの、桜木の身体能力の高さにいち早く気づき、勧誘した青田の着眼点もまた素晴らしい。
■一度見たジャンプ力で能力の高さを見抜いた相田彦一
「要チェックや」でおなじみの、陵南高校1年生・相田彦一。湘北との練習試合が近づいてきたため情報を得ようと湘北の体育館を訪れた彦一は、残って練習していた桜木のシュートを目撃し「信じられんジャンプ力や!!」と、その驚異的な身体能力に脱帽する。
このときは桜木のことを流川と勘違いしていたものの、彦一の情報収集能力や目の付け所はいつも的確で、さすが記者の弟といったところだ。
■一瞬のプレイを見て冷静に評価した仙道彰
陵南高校の絶対的エース・仙道彰も、桜木の素質を見抜いていた一人。
仙道が桜木のプレイを見たのは練習試合の後半に入ってからだったが、仙道はベンチで待機している桜木を挑発するなど、すでになんらかの期待をもって接していたように感じられる。
ルーズボールを追う陵南の越野を一瞬で追い抜いた桜木を見て、陵南キャプテン魚住純は「ひたむきさだけでバスケットができるか」と言うが、それに対して「スピードもありますよ あいつ」と仙道は冷静に評価している。
本作で、仙道が桜木を認めている描写は数多くある。素人だと知っていてもなお、桜木の能力に注目し評価する仙道は、やはり見る目があったということだろう。