■流れを読みつつチームを鼓舞
高校バスケ界の頂点・山王工業高校との試合でも、宮城は試合中ずっと先の展開を読み続け、それをもとにチームを引っ張る様子が見られた。
試合開始直後には、宮城は桜木花道とタッグを組んでの“奇襲”を安西先生に託された。しかし、予想を遙かに上回る山王のディフェンスの様子に、いったんは「一本!! キッチリとろう!!」と自身の判断で奇襲を諦めている。その優れた判断に、安西先生も「うん…それでいい」と納得していた。
……が、試合は急展開。宮城のドリブルカットからチャンスが生まれ、ここぞというタイミングで「いっ」と歯をむき出しにする奇妙な合図を送ると、桜木に絶妙なアリウープのパスを出す。これを見事に決めた二人に周囲はマグレ扱いをされたものの、桜木を知り尽くした宮城だからこその秀逸なパスだった。
この“奇襲”が功を奏して序盤は湘北ペースの試合展開だったが、そこはやはり絶対王者・山王。後半に入り、あっという間に20点以上の差をつけられてしまう。絶望的な点差に加えて圧倒的な力の差を見せつけられ、意気消沈するメンバーたち。
まさに絶体絶命の状況だったが、そんななか、宮城は冷静に試合の流れを俯瞰していた。「後半のスコアは26-2…」「しかしそこまでの力の差はねえ‼」「絶対に もう1度ウチに流れがくる‼」「その時を10点差くらいで迎えられたら」「まだ追いつくチャンスはある‼」と見立てをし、希望を失うことなく、赤木や三井ら3年生のフォローに入り、「しっかりしろォ‼」「流れは自分たちでもってくるもんだろうがよ‼」と、ハッパをかける。これには、海南大附属・牧紳一も「宮城はPGとして だいぶ成長したな」と賞賛していた。
この後、宮城の読み通り、流れは再び湘北にやってくる。苦しい局面では流れが変わり始めてもその変化に気づきにくく、チャンスを掴むことは困難だ。常に冷静に状況を観察し判断を下す宮城がいてこそ、掴めた流れだったのだろう。
自称「神奈川No.1ガード」の宮城リョータ。これには同じガードの牧や藤真も「ピク」っと反応していたが、実際に宮城の活躍は強豪校のガードたちと比べても遜色ない。映画ではいったいどんな姿を見せてくれるのだろうか。とても楽しみだ。