『ガンダム』シリーズ最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が好評だ。毎週放映が終わるたびツイッターでは本作に関するワードがトレンド上位にランクインするほどだ。なかでも11月20日に放映された「シャル・ウィ・ガンダム?」では、経営戦略科のミオリネが投資家を募り「株式会社ガンダム」を起業させ大きな話題となった。
現代でも学生起業家の話をいくつか聞くこともあるが、それでも未成年ながら「社長」の肩書を持つ事例は珍しいと思われる。だが、アニメや漫画の世界では小さな子どもでさえ社長となっているのだ。
そこで今回は、アニメや漫画で印象的だった「子ども社長」を何人か振り返りたいと思う。
■『無敵ロボ トライダーG7』竹尾ゼネラルカンパニーを継いだのは小学生の息子?
筆者にとって「子ども社長」といえば、1980年(昭和55年)から放送された『無敵ロボ トライダーG7』の竹尾ワッ太である。
とある下町で「宇宙の何でも屋」を営む「竹尾ゼネラルカンパニー」は、創始者である竹尾道太郎が亡くなり小学6年生の息子・ワッ太が二代目社長となった。会社は巨大ロボ「トライダーG7」を保有しており、仕事が入ると専務が社長兼パイロットのワッ太を自転車で迎えに行くのだ。
本作は「会社運営」を下地にしているため、当時のロボットアニメとは一味違う戦い方が特徴的だった。たとえば、零細企業である竹尾ゼネラルカンパニーは、敵との戦闘時も「ミサイル1発いくら」といった経費を考える。なぜなら「今回の仕事は100万円」と防衛省長官(取引先)から提示された場合、その金額には出撃時に発生する経費以外に会社の光熱費や社員の給料なども含まれているからだ。
ワッ太社長は、地球の平和を守るため敵の「ガバール星」と命がけで戦いながら、社員の生活を守るため会社の利益をあげなくてはならない。
そんな会社は住宅街に3階建て社屋を構えているが、巨大ロボG7の「収納場所」がおもしろい。隣にある公園の地下にG7は収納されており、なぜか頭部だけが地上に露出し周囲を子どもらが遊んでいる。会社に依頼が入った場合は「毎度お騒がせをして申し訳ございません」のアナウンスを流し、公園にいた人々を避難させてからG7を出撃させるのだが、これをほぼ毎回繰り返しているのだから地域住民も協力的だ。
こうしたロボットでの戦闘や会社経営だけではなく、子どもらしい悩みやクラスメイトとの交流も描かれている。特に、嫌味なクラス委員・大山健一が最終回で見せた友情は胸にくるものがあった。
私見ではあるが、同作については主題歌「トライダーG7のテーマ」を聴くのが一番わかりやすいのではないかと思う。