■『勇者特急マイトガイン』美形で優秀な旋風寺コンツェルンの若き総裁

 1993年に放映されていた『勇者特急マイトガイン』は、1990年の『勇者エクスカイザー』からスタートした『勇者シリーズ』の第4弾。世界の鉄道王として知られる「旋風寺コンツェルン」の若き総裁・旋風寺舞人(15歳)が変形ロボ「マイトガイン」をはじめ「勇者特急隊」とともに正義と平和のために戦う物語だ。

 本作の特徴といえばやはり「名前」だろう。主役の旋風寺舞人およびマイトガインの「マイト」は、日活スターである小林旭さんの愛称「マイトガイ」とその主演映画『銀座旋風児』シリーズが由来。また、ヒロインの「吉永サリー」は女優の吉永小百合さん、「雷張ジョー(エースのジョー)」も日活スターであった宍戸錠さんから名づけられている。

 もう一つの特徴は、前作までの「勇者シリーズ」では「エネルギー生命体」などがメカに宿って人格を持つのに対して、本作ではロボットの人格や心は高度なAIにより「人間」が作り出した設定なのだ。

 また、舞人は頭が良くイケメンでお金持ちの三拍子で、そのうえキザなセリフを平気で言ってのけるなど昭和30~40年代の邦画を彷彿とさせるヒーロー像だ。一方、ヒロインであるサリーは中学生ながらアルバイトにいそしむ孝行娘だが、毎週違った業種で働いているため「毎度クビになるの?」と視聴者を心配させた。

 さまざまな試みをした本作であったが最終回は衝撃の展開で、その是非は今なおファンの間で語り継がれている。

■『遊戯王』「青眼の白龍」に固執する海馬コーポレーションの若手社長

 未成年で社長と聞かれたら、多くの読者が彼を思い浮かべるかもしれない。高橋和希さんの漫画『遊☆戯☆王』に登場する海馬瀬人は、現役高校生ながら巨大企業「海馬コーポレーション」の社長となった人物だ。

 前述した二人と違い、瀬人と前社長・剛三郎との間に血縁関係はない。瀬人は幼い頃に両親を亡くしており、弟・モクバと施設に身を寄せていたのだ。そんな彼に転機が訪れたのは10歳の頃、後継者探しのため施設に訪れた剛三郎にチェスで勝利し兄弟揃って剛三郎の養子に迎え入れられる。

 だが、海馬家での後継者教育は凄まじいレベルで、それに耐え抜いた瀬人は数年後に役員を味方につけクーデターを起こし剛三郎を失脚させ社長となったのだ。

 そんな瀬人を語るうえで「青眼の白龍」への執着は外せないが、「デュエルタワー」のエピソードも紹介したい。剛三郎が建造した「軍事産業」の拠点を瀬人が破壊し建てたのがデュエルタワーだが、「バトルシティ編」の決勝戦後は瀬人の手で破壊される。これは養父との長年に渡る確執の決着と、遊戯との戦いを経て彼の心境の変化を表現した重要シーンだ。

 剛三郎が築いた「軍事産業」とは真逆の「身寄りのない子どものためのテーマパーク」を作るため、これからも瀬人には自身の夢(ロード)を歩み続けて欲しい。

 以上、若くして「社長の肩書」を持つ3キャラを紹介した。一般的に「社長」は会社の利益や社員の生活を守るものであるが、「企業」としては利益追求だけではなく「社会的責任」や「社会貢献」が必要と言われている。

 今回取り上げた彼らは、子どもといえども立派な「社長」に間違いはないだろう。

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