■たった2コマの登場でファンの心を鷲掴みにした「オシシ仮面」

『ドラえもん』の登場キャラが作り出したキャラが、思わぬ人気を博していたりもする。なんとそのキャラは、実際にフィギュアになったり、レアキャラ扱いでカードゲームやニンテンドーDSのゲームソフトにも登場するなど、ファンからの支持も高い。

 そのキャラとは、コミックス3巻「あやうし!ライオン仮面」の回で登場した「オシシ仮面」だ。

 オシシ仮面は、『ドラえもん』作中での人気漫画家「フニャコフニャ夫」が描く『ライオン仮面』に登場する人物。ライオン仮面の弟で、見た目は獅子舞で仮面をかぶった不思議な格好をしている。

 フニャコフニャ夫の漫画では、敵に捕まり、ロープで縛り上げられて撃たれそうになっている大ピンチのオシシ仮面の姿が描かれていた。わずか2コマしか登場していないのだが、このオシシ仮面は絶大な人気を誇っているようで、2007年放送のテレビアニメ「半分の半分のまた半分…」では、のび太がテレビに映った「オシシ仮面」を観ているシーンがある。

 また、2011年に公開された『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』ではスネ夫の部屋にフィギュアが飾られていたり、ジャイアンはオシシ仮面が吊るされる場面を本屋で立ち読みしているなど、『ドラえもん』内での「ヒーロー」として定着している様子。

 漫画『ドラえもん』のなかに出てくる「漫画のキャラ」というややこしい説明となってしまうが、知る人ぞ知る愛されキャラなのである。

 

 多くの人気キャラを世に出してきた『ドラえもん』。ガチャ子のような主人公級なキャラが出てきたと思ったら知らぬ間にいなくなっていたり、一瞬しか出てこなかったのにフィギュアになるほどの人気を誇るオシシ仮面のようなキャラがいたりなど、知れば知るほど非常に奥深い。

 今のドラえもんのキャラたちが確立した裏には、藤子・F・不二雄氏の相当な試行錯誤があるということだろう。そう考えながら、本作をあらためて読み返してみるのも面白いかもしれない。

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