■子ども時代の作品を大人になって見ると「泣く」

 この、過去作品のキャラクターをメインにしたショーというのは「ウルトラシリーズ」ではすでにありまして、僕もよく見に行っています。

 1981年生まれの僕が子どものときは『ウルトラマン』と『仮面ライダー』のリアルタイムでの放送がなくビデオ作品しかなかった。なので当時の僕は、1984年に劇場公開した『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』のビデオを毎日見続けたんです。大袈裟かと思われますが本当に毎日です。

 過去にも当サイトのコラムで書きましたが、当時はレンタルビデオ店も少なく、値段も高く、しかも泊数も最高で2泊3日。レンタル代が恐ろしいことになり、母親がビデオ店に「このビデオを売って下さい」ととんでもない手段に出ます。今では考えられないですが快く販売してくれました。そして、さらに夢中になってビデオを見続けた結果、こんな大人になってしまいました。

 子どもの頃に夢中になって見ていた大好きなヒーローのショーを、大人になってから見るとどうなると思いますか?

 正解は「泣く」です。

 無意識に涙が止まらなくなるんです。会場から流れてくる曲、その曲に合わせて手拍子をするたくさんの親子の姿、目の前で戦っているあのときのウルトラマン。全てが子どものときに母に連れて行ってもらったショーの景色と同じで、その時間に一気に巻き戻されてしまったんです。

 母がまだ若かったときの顔や匂いまでもが蘇り、若い母と子どもに戻った僕が会場でみんなと一緒に手拍子をしながらウルトラマンを応援していました。忘れていた心の奥底に仕舞われていた想い出の箱をガバっと開けられたようで、あれほどまでにノスタルジックな感覚に飲み込まれたのは初めての経験でした。子ども時代に刻まれるヒーローというのが、それだけ記憶に残り続けるものなんだと強く感じました。

 そのショーのスーツアクターさんたちはきっと自分と年が近いか年下だったと思います。彼らが自分たちが見ていた、または産まれてくる前のウルトラマンを演じて繋いでいっているんだなと思うと、それもまたひとつ感動ですよね。

 今年は『ハリケンジャー』が20周年を迎えましたが、当時ハリケンイエローのスーツアクターを担当していたジャパンアクションエンタープライズの竹内康博さんが、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ではサルブラザーを演じています。そう考えると、20年経っても現役でヒーローを演じ続けているということにまた感動させられてしまいますよね。

 人は歳を取り姿が変わりますが、目の前のヒーローはいつまでもあのときのままの姿。だからこそ、大人になって目の前で出会ったときに一気に子どもの頃の記憶を呼び戻されてしまうのだと思います。コロナ禍でショーの開催が減りましたが、また少しずつ復活しています。画面で見るのもいいですが、「目の前で見る・感じるヒーロー」は格別です。お父さんお母さん、行けるときは是非ヒーローショーに連れて行ってあげて下さいね。そして過去の作品をメインにしたショーがもっともっと増えることを強く願っております。

 そしたら各世代たちが童心にかえって忘れてた何かをまた感じることが出来るんじゃないかなと思います。ただ全員が子どもになっちゃったら困りますが(笑)

  1. 1
  2. 2
  3. 3