電子書籍で漫画を読む人が増えているが、漫画を紙で読む醍醐味もたくさんある。ページを自分の手でめくるドキドキ感が最たる例。特に作者の巧妙な演出によって、ページをめくった先の見開きの展開で驚かされたという経験がある人も多いだろう。今回はその中でも、「心臓に悪いくらい怖かった!」という声の多い見開きページを紹介したい。
見開きでドーンと読者を驚かせるのは、ホラー漫画に多い展開だ。2ページをまるまる利用して、子どもたちにトラウマを植え付けるような恐ろしいモノが描かれることもある。
『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載されていた、原作担当の真倉翔氏と作画担当の岡野剛氏によるホラー漫画『地獄先生ぬ〜べ〜』では、見開きで恐ろしい妖怪の姿を描くことで読者を恐怖のどん底におとしいれる展開が多々あった。
たとえば6巻の「赤いチャンチャンコの巻」。「赤いチャンチャンコ」は、30年前に自殺した女子児童の悪霊で、見開きいっぱいで彼女の顔がドアップで描かれたページは同作の中でもかなり有名だ。「ニター」というブキミな笑いとともに真っ黒の肌にうねった髪の恐ろしい姿の妖怪が襲いかかってくる様子には、大の大人が見てもビビってしまう。
22巻収録の「見たら死ぬ!海難法師の巻」も同様の手法が怖いエピソードだ。こちらは封印の直前の、誰もが油断したところに見開きで瞳孔の開ききった海難法師の姿が描かれた。海難法師は、ぬ〜べ〜が戦っても相手をすることができない妖怪の一体で、最後も社(やしろ)に封印するだけで完全に倒すことはできなかった。その後味の悪さもある。
見開きに限らず『ぬ〜べ〜』にはページをすぐに閉じたくなるほど恐ろしいびっくり系の表現が多い。