■「グッド!」承太郎も認めた最強ギャンブラー『ジョジョ』の「ダニエル・J・ダービー」

 次に紹介するのは荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)に登場するスタンド使いのダニエル・J・ダービー。「グッド!」が口癖でギャンブルのみで勝負し、負けた相手から魂を奪って“コイン”として実体化させるスタンド使いで、承太郎たちと頭脳戦を繰り広げた。

 これまではスタンド使い同士のバトルが基本だったが、ダービーは腕力に頼らない。まずは相手をギャンブルの席に着かせるところから始めなくてはならないが、その時にはすでにイカサマの仕込みが完了している。

 そう、この男はイカサマを常に仕掛けており、“バレなければイカサマではない”がモットーなのだ。これは第2部の主人公のジョセフ・ジョースターに共通するタイプでもあると思うが、そのジョセフですら倒され魂を奪われてしまう。

 しかし、ダービーは承太郎とのポーカー対決の際、承太郎のハッタリに言葉が詰まり、徐々に精神が崩壊していく。勝負する前に再起不能となってしまったが、そのままポーカーを続けていれば承太郎が負けていた。

 言葉とイカサマだけでポルナレフやジョセフを倒し、承太郎までも倒す寸前までいったダービー。承太郎も「いくらスタープラチナでも ダービーほどの男の目を盗んでイカサマは不可能だ」と認めており、たった一人で4人を倒そうとしてきたことに「たいしたヤツだぜ」と敬意すらにじみでていた。

 でもそういえば勝負中、承太郎はタバコやジュースを急に用意してダービーを驚かせていたな。スタープラチナでイカサマできるんじゃないか……?

■ケンシロウさえも騙して動きを封じ込める『北斗の拳』天才拳法家の「アミバ」

 最後は原作を武論尊氏、作画を原哲夫氏が務める『北斗の拳』(集英社)に登場する拳法家のアミバだ。彼はケンシロウの義兄でもあるトキに恨みを持っており、服装や髪型、容姿をトキに似せて、ケンシロウを翻弄していた。本来ならばアミバ程度は瞬殺できるものの、トキに憧れや尊敬を抱いていたケンシロウは困惑からか従来の実力が発揮できない。それどころか、動きを封じる秘孔を突かれてしまって身動きできなくなってしまうのだ。

 すぐにとどめを刺さずにケンシロウをいたぶるアミバだったが、そこへレイが登場してアミバの正体は暴かれた。するとケンシロウは急に秘孔を破って、最終的にはアミバを倒す。

 トキは読者ならだれでも分かる人格者だ。強く優しく、率先してケガ人や病人の世話をするほど。ケンシロウもトキの性格を知っているなら見破れよ……と言いたいところだが、アミバがそれだけ上手に化けていたのだろう。

 

 いかがだったろうか。これらのように主人公を苦しめた強烈な脇役たちは個性も豊かだ。脇役たちも詰めが甘いが、一歩間違えれば主人公たちは倒されていたかもしれない。よもやストーリーが大きく変わるタイミングだったかもしれないと思うと、それはそれで面白い。

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