■憎悪と絶望によって堕ちてしまった天使『ドラゴンクエストIX』エルギオス

 徐々にゲームにもインターネットの技術が取り入れられてきたが、2009年にニンテンドーDSで発売された『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』も、他者と協力できるマルチプレイ要素を導入した意欲作である。

 地上に落ちた「天使」として冒険を繰り広げていく主人公らの前に立ちはだかるのは、大先輩にあたる「最高位の天使」であったエルギオスである。

 もともとは守護天使であったものの、人間たちとのすれ違いや、帝国によるおぞましい実験を受けたことがきっかけで、人への絶望から「堕天使」となり、世界を滅ぼそうと動き出す。

 第一形態こそ守護天使だったときの面影を残しているものの、第二形態では緑の体色を持つ禍々しい姿に変貌。完全二回行動なうえに多彩な攻撃パターンで先が読めず、しっかりと準備をしていないプレイヤーにとってはなかなかの強敵だ。

 とはいえ、装備を揃えて強化魔法などを駆使して戦うと、それぞれの威力はそこまで高くないため、安定して戦える。さらに前作から引き続き導入された「テンション」システムによって、味方側のステータスを大幅に上げることもでき、これらを駆使すると思いのほか、歯ごたえなく戦闘が終了してしまうのだ。

 “哀しき悪役”として非常に重い過去を持つ彼だが、ラスボス戦までのプレイヤーの備え次第で、その強さの評価が大きく二分されるラスボスだろう。

 

 物語の最後に立ちはだかる「ラスボス」は、シリーズを通してどれも禍々しく邪悪な見た目に変貌し、通常のモンスターとは一線を画す強力な技・呪文の数々でプレイヤーに襲い掛かってくる。

 しかし、強敵揃いな一方、パターンを見切ったり、システムを活用することで思わぬ「弱点」が見えてしまう、どこか拍子抜けなラスボスたちも存在する。見た目だけだと威圧されてしまいがちだが、冷静に作戦を練ることで突破口が見えてくるのも、「RPG」というゲームジャンルの醍醐味の一つなのかもしれない。

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