1986年にファミリーコンピュータ向けソフトとして発売されて以降、圧倒的人気から、続編が生まれ続けている名作ゲーム『ドラゴンクエスト』。新たなタイトルが登場するたび、さまざまな「ボスキャラ」がプレイヤーの行く手を阻むが、なかには禍々しい見た目とは打って変わって、どこか拍子抜けな実力を持つボスも存在する。
見た目と実力とのギャップが激しい歴代ボスキャラについて、いくつか紹介していこう。
■巨大さがインパクト大な暗黒神!!『ドラゴンクエスVIII』ラプソーン
2004年に発売された『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』はシリーズ初のPS2タイトルで、最新ハードの力をいかんなく発揮し、さまざまな進化を遂げた作品として多くのファンを熱狂させた。
そんな本作の旅の終着点に待つ敵こそ、世界を混沌に陥れようとする暗黒神ラプソーンである。大きな角を持つ小柄な魔導師のような姿をしているが、暗黒魔城都市を取り込むことによってさらなる力を手に入れ、変貌する。
その姿はまさに圧巻の一言で、なにより特筆すべきなのは主人公たちが見上げるほどに肥大化した紫の肉体である。巨大な角、大きな翼、全身を覆う入れ墨など、まさに禍々しさをこれでもかと塗り固めたディテールだ。
だがこのラプソーン、見た目に反して実はそこまで強くない。“はげしいほのお”、“念じボール”、“神々の怒り”といった多彩な技を持つものの、威力はそこまで驚異的ではなく、なにより「不敵に笑う」という無駄な行動で大きな隙まで生まれてしまうのだ。
さすがに実力不足と判断されたのか、その後3DSにて発売されたリメイク版では大幅に性能が強化されることとなる。PS2時代のファンの心を、あらためて「暗黒神」の名に恥じない実力で驚愕させた、奇妙な経歴を持つボスキャラクターだ。
■育て上げたモンスターたちにたじたじな大魔王!?『ドラゴンクエストV』ミルドラース
1992年にSFC用ソフトとして発売された『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』では、今まで戦って倒すだけだったモンスターを味方につけ、ともに冒険することができるという新たな試みが導入され、それ以降のシリーズにも影響を与えた。
親子三代に渡る壮大な因縁を描いた本作だが、その因縁に深くかかわってくるのが、本作のラスボス・ミルドラースである。主人公らと対峙した際は緑の肌と白いひげ、マントを羽織った老人の姿をしているが、第二形態では赤い肌に黒い紋様を持ち、翼と四本の腕、棘の生えた尻尾を持つ巨大な竜のような姿に変貌する。
歴代ラスボスも使ってきた“しゃくねつのほのお”や強力な呪文、こちらの強化を消去する“いてつくはどう”を使ってくるだけでなく、“めいそう”によって回復までこなすなど、まさに攻守において隙のない戦い方を繰り広げる。
技のラインナップを見ると強そうに見えるミルドラースだが、実は行動が完全にパターン化されており、呪文耐性がなく、完全な二回行動ではないなど、対処自体はやりやすかったりする。そしてなにより、本作の目玉である「モンスターを仲間にする」ことで、強力な仲間をぶつけ、性能によって押し勝ってしまうことが可能なのだ。
ある意味、本作で導入された新システムを極めるかどうかで難易度が左右される、意外な突破口が用意されたラスボスと言えるだろう。