■巨大MAに特攻しメガ粒子砲が直撃!左脚を失う
最後に紹介するのは『機動戦士ガンダム第08MS小隊』の主人公シロー・アマダだ。本作は1996年から1999年に制作されたOVA作品で、全11話の本編と特別編「ラスト・リゾート」で構成されている。おもに地上での戦いが描かれ、いずれのシーンもリアルで泥臭い。この点が従来シリーズと差別化されており、今なおファンに愛される作品となっている。
主人公のシローは、極東方面軍のコジマ大隊に所属する第08MS小隊の隊長に就任した青年。MS同士の戦闘に先行量産型ボールで介入するなど無鉄砲で熱血漢なところがあり、当初部下からは陰口を叩かれるシーンもあったが徐々に信頼を得ていった。
シローはジオンの行いを憎んでいるが、ジオン軍の女性テストパイロットであるアイナ・サハリンと出会い、敵軍同士でありながら恋愛感情を育んでいく。そして第11話「震える山(後編)」でアイナが兄・ギニアスから銃撃され巨大MA「アプサラスIII」から落下するところを間一髪でシローが救助。2人でガンダムEz8を操縦し、ギニアスとの決着をつけることになった。
シローはメガ粒子砲の発射態勢にあるアプサラスIIIへ組み付き、パンチでアプサラスIIIのコクピットを粉砕する。だが同時にアプサラスIIIのメガ粒子砲が至近距離で発射され、ガンダムEz8の下半身は蒸発してしまう。そしてアプサラスIIIとガンダムEz8はそのまま落下し、爆発するのだった。
公式でシローは「行方不明」とされているが、エンディングで左脚を失いながらも生存しているシルエットが映し出されている。最後まで自らの信念を貫いたシローの姿は、満身創痍ながらも魅力的に感じた。
ガンダムシリーズにおいてボロボロになりながらも信念を持って戦うキャラクターたち。完全な勝利などないと言わんばかりの彼らの姿もまた、『ガンダム』シリーズのメッセージのひとつだろう。