『機動戦士ガンダム』シリーズは戦争をテーマとしているだけあって、敵味方問わずボロボロになっているシーンが多く、なかには手足を失うなどの重傷を負って生還するキャラクターもいる。そんな「満身創痍」の状態が、メインキャラにも発生してしまうのがガンダムシリーズならでは。当然ながら主人公であっても五体満足とは限らず、アニメを見ている我々に戦争の恐ろしさを突きつけてくる。
そこで今回はこれまで『ガンダム』シリーズで描かれた戦いの中から、命ギリギリになりながらも最後まで戦い抜いたキャラクターたちを振り返りたい。彼らの熱い信念や生き様を思い出しながら読んでいただければ幸いだ。
■ガンダムに敗北してMSが大破!戦死を免れ生き抜いた虎
最初に紹介するのは『機動戦士ガンダムSEED』に登場するアンドリュー・バルトフェルド。本作は2002年から2003年にかけてテレビシリーズとして放送され、当時の若い世代に支持された人気作だ。
「砂漠の虎」を異名に持つバルトフェルドは、ザフト北アフリカ駐留軍の司令官として登場し、主人公キラ・ヤマトと3度に渡って死闘を繰り広げたキャラ。第21話「砂塵の果て」でついに決着がつき、バルトフェルドと恋人・アイシャが乗るMSラゴゥは爆発してしまう。
バルトフェルドも戦死したと思われたが、彼は物語の後半に、左目、左腕、左脚を失ったまさに「満身創痍」な状態で再登場する。そして日常生活すら困難な状態にも関わらず、戦艦エターナルの艦長を務め、終戦まで戦い抜いたのだった。
なお、続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、艦長職だけではなくMSのパイロットもこなしたバルトフェルド。義手・義足を装着し、隻眼の状態でエース級の活躍をした「虎」の姿に目が釘づけとなったのを覚えている。
■宇宙世紀史上最高のニュータイプ能力!死者の念を取り込み精神崩壊
「満身創痍」で戦い抜いたキャラでいえば、『機動戦士Zガンダム』の主人公カミーユ・ビダンは欠かせないだろう。
カミーユは反地球連邦組織エゥーゴのMSパイロットとして活躍。ストーリー初期は見境なく暴力を振るうなど精神的に未熟な点があったが、強化人間フォウ・ムラサメとの出会い、死別などを経て大きく成長していった。
そしてパイロットとしての技術だけでなく、高いニュータイプ能力を開花させていったカミーユは、死者の念をも強く感じ取れるようになり、最終的に精神崩壊を引き起こしてしまう。
親しい間柄だったカツ・コバヤシやエマ・シーン、敵のジェリド・メサやレコア・ロンドなどが最終決戦で戦死したことで、カミーユの能力はより洗練され、同時に危うさを増していく。
そして第50話「宇宙を駆ける」において、戦いの元凶であるパプテマス・シロッコを自身の手で討ち果たした際に彼の悪意・怨念を受け取り、精神が崩壊。このある種のバッドエンドは多くの視聴者に衝撃を与えた。
なお、正統続編の『機動戦士ガンダムZZ』のラストシーンでカミーユが快方に向かっていると思われるシーンがあった。また2005年から2006年にかけて公開された劇場版三部作ではシロッコを倒したあとに精神崩壊には至っていない。