1993年より子ども、ファミリー向けのアニメ作品を放映し続けている『キッズステーション』。さまざまな名作アニメが軒を連ねるこのチャンネルで、かつて「子ども向け」というにはどこか無理のある、思い切った作品がいくつか放映された。
そこで今回は、過去『キッズステーション』で放映された、あまりにも強烈だったアニメ作品について紹介していこう。
■過激すぎる表現はもはやトラウマ級!?『ポピーザぱフォーマー』
時代が進み、アニメの世界にも徐々に「CG技術」が取り入れられるようになったが、2000年から約1年にわたって『キッズステーション』で放映された『ポピーザぱフォーマー』も、キャラクターや背景をCGで表現したアニメ作品だ。
うさぎの被り物をかぶったキャラと、お面をつけた狼らしきキャラが登場するなど、雰囲気自体は子どもも親しみやすい部分がある。それでいて、キャラクターがほとんど喋らないといった、当時のアニメにしてはどこか変わり種ともいえる一作だ。
だが、本作の最大の問題点は、あまりにも「過激すぎる内容」である。終始ギャグ調でキャラクターたちが動き回るものの、出血や爆死、刺殺や焼死といった展開はもはや当たり前。キャラクターの体がバラバラにされるなんてことも、珍しいことではない。その強烈すぎる表現の数々から、本作のタイトルが「ネットで検索してはいけない言葉」として広まっているくらいである。
実はこの作品、放映されるにあたっていろいろと難航した部分もあったようで、当時「月10万円」という予算で作っていたことや、当時の担当者があまりアニメ業界をわかっておらず、放映して良い内容だったのか曖昧なまま放送されたことなどが、のちに制作者の増田龍治監督のインタビューによって明かされていた。また、CGデザイナーの負担を減らすための工夫をしていたなど、当時だからこその苦労もあったようだ。
さまざまな背景があったとはいえ、それを踏まえてなお、あまりにも「子ども向け」の枠を飛び越えた、強烈なインパクトを残す一作である。
■展開、描写、どちらもあまりにも大人向け…『君が望む永遠』
恋愛に焦点を当て、そこで展開される愛憎劇がテーマとなった「大人向けアニメ」は数多く存在するが、『キッズステーション』でも、あまりにも「大人向け過ぎる」作品が放映され、話題となった。
もともとアダルトゲームとして発売され、そのシナリオの評価の高さから、のちに一般ゲーム化、そしてアニメ化とメディア展開を続けたのが『君が望む永遠』である。複数のヒロインとの三角関係に主軸を置いた作品で、その練り込まれたストーリーと衝撃展開が話題を呼び、制作会社の名を一気に世に知らしめた。
アニメでもキャラクターたちの恋愛模様が描かれていくのだが、「三角関係」を題材にしているがゆえに、その空気感は常に重々しい。そもそも当時の恋愛ゲームにおいては「三角関係」という設定自体が“禁忌”ともされていたほどで、昼ドラ顔負けの鬱々とした展開が続いていく。
加えて、アダルトゲームであるという系譜を受け継いだからか、直接的な描写こそないものの、なんと主人公とヒロインの行為の場面まで存在するのだから驚きだ……。
とはいえ、シナリオ自体の評価は原作同様に高く、すべてを乗り越えた視聴者たちはその展開に涙した名作である。しかし、あまりにも「大人向け」な内容に『キッズステーション』で放映されたという事実がなんとも信じられない一作である。