■OPのほのぼの感が一転…伝説級の強烈アニメ『なるたる』
アニメといえば冒頭を彩る「OP映像(オープニング)」も見どころの一つだろう。だがときには、そのOPとアニメ内容にあまりにも乖離があり、視聴者に思わぬ衝撃を与える作品も存在する。
2003年より放映されたアニメ『なるたる』では、「竜の子」と呼ばれる謎の生物との出会いをきっかけに、主人公・玉依シイナがさまざまな戦いに巻き込まれていく。
本作のOPは終始、クレヨンのような温かみのある色調で描かれ、紙芝居のようにコミカルに動くシイナや「竜の子」らの姿が映し出されていた。明るい雰囲気のテーマ曲も相まって、「主人公と竜の子らによって繰り広げられるドタバタ展開」をイメージした視聴者は多かったはずだ。
だが、OPからは想像もできないほどのエグい描写の数々がアニメ本編では続いていく。リアルな死の描写、キャラクターの唐突な死、生々しいイジメの描写など……その展開は終始「壮絶」の一言で、OPから期待されるような「ほのぼの」とした空気は皆無である。
作品のシナリオ自体は非常に練り込まれており、実はOP映像にもきちんと作中の伏線が含まれていたりもする。しかし、その怒涛の展開にやられてしまう視聴者があとを絶たず『キッズステーション』で放映するには、あまりにも強烈すぎるアニメ作品だったのではないだろうか。
時代が経て、「アニメ」というカルチャーが人々の間に深く浸透してきたことから、子どもだけでなく大人向けの作品も数多く見られるようになってきた。
しかしながら、紹介した作品はどれも『キッズステーション』という子ども、ファミリーをターゲットにしたチャンネルで放映するには、あまりにも衝撃的だったように思う。当時、チャンネルで視聴していた子どもたちにトラウマが残ったのでは……と心配になってしまう、なんとも強烈な作品たちである。