■マリーダ・クルス 地獄から救ってくれた父への想い

 最後に『機動戦士ガンダムUC RE:0096』から、残酷な過去を背負い、マスターに忠誠を誓うマリーダ・クルスを紹介したい。

 マリーダの過去は、第7話「パラオ攻略戦」でバナージとの戦闘中、精神感応を起こしたことで明かされる。マリーダは『機動戦士ガンダムZZ』に登場するエルピー・プルのクローンシリーズであり、その生き残りだった(プルトゥエルブ)。

 第1次ネオ・ジオン戦争後に人身売買で娼館に売られ、過酷な生活を強いられていたマリーダを救ったのは、彼女が「マスター」と呼び慕うガランシェール隊のリーダー、スベロア・ジンネマンであった。ジンネマンが彼女を娼館から救い出し、「マリーダ・クルス」という新しい名前を与えたのだ。

 ジンネマンに対し、絶大な忠誠心を持ったマリーダだが、第19話「再び光る宇宙」でリディ・マーセナスとの戦闘中、ビームマグナムでコックピットを撃ち抜かれて戦死してしまう。それでもマリーダは自らの死を通じて、リディら戦闘宙域にいる多くの人に言葉や想いを残す。哀しくも優しい最期だった。

 特にマスターであり育ての親でもあるジンネマンに対しては、「あなたは私の光。もう一度、私を生んでくれた光でした。ありがとう。お父さん」と感謝を告げて消えていった。シリーズ屈指の“泣けるシーン”と言っても過言ではないだろう。

 

 ガンダムシリーズには今回紹介した3人以外にも、壮絶で哀しい最期を遂げた強化人間が数多く登場する。戦争という理不尽にのまれながら、人との繋がりや自身の思いに悩まされる描写が多い女性強化人間たち。その壮絶な生き方が多くのファンを魅了してやまないのだろう。

 放送中のアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』にも「強化人士」と呼ばれるキャラが登場する。今後、物語にどのように関わっていくのか注目したい。

■番組情報
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
毎週日曜 17時より放送(TBS系)
公式サイト:https://g-witch.net/

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