■伝説的ニュータイプたちを見守ったオールドタイプ
ファーストガンダムの頃は、経験が浅い重責に焦る若き軍人というイメージだったが、後に立派な指揮官として成長していったブライト。その場面場面で、彼にしか言えない力強い言葉を残しており、それが彼の何よりのすごさなのは間違いない。
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、地球連邦軍・独立新興部隊「ロンド・ベル」の旗艦ラー・カイラムの艦長と艦隊司令を兼任。それまで時折見せていた弱さをすっかり無くし、ネオ・ジオンによる「アクシズ落とし」を阻止する作戦を決行するため、クルーに「すまんがみんなの命をくれ」と告げた。ラー・カイラムのクルーたちは誰も首を横に振らず、全員が無言の敬礼。言葉ひとつでブライトが絶大な信頼を集める、10代のブライトから見続けてきた視聴者にとっては涙必至のシーンだった。
アムロ・レイ、カミーユ・ビダン、ジュドー・アーシタと言えば宇宙世紀のガンダムにおける最強のニュータイプパイロットであり、最強の問題児たち。そんな3人を時には育て、指揮できたのは長き宇宙世紀においてもブライト・ノアただ1人であろう。
そして宇宙世紀0096を舞台にした『機動戦士ガンダムUC』では、ガンダムに乗っていいのか悩むバナージ・リンクスに対し、ここでも力強い言葉をかけている。
ブライトは、今までのガンダムパイロットも偶然ガンダムと出会ってきたと前置きをして「ガンダムに乗るかどうかは自分で決めたことであって、偶然ではないはずだ。そのとき、君にガンダムに乗る決意をさせたものはなんだ」と説得する。このセリフが、バナージをガンダムに乗せるきっかけとなった。
ブライトはこのとき36歳。周囲がいくら説得してもムダだった相手に対し、ブライトがほんの少し会話をしただけで心を動かしてしまう。19歳で艦長代理に任命され、プレッシャーの中でギリギリの選択を迫られてきた彼だからこそ言えたセリフなのだろう。
当サイトでは過去にガンダムファン約600人に「理想的な上官」についてのアンケート調査を行っており、ブライト・ノアはランバ・ラルに次いで2位となっている。クルーだけでなく、視聴者も納得してしまう上司といえよう。