『機動戦士ガンダム』言葉の力強さと類まれなる判断力…10代で戦場を駆け抜けた「ブライト・ノア」のすごさの画像
『GUNDAM HISTORICA(ガンダムヒストリカ)』(講談社)第7巻

 宇宙世紀の『ガンダム』では、アムロ・レイを筆頭にニュータイプと呼ばれる突出した能力を持つエースパイロットにスポットが当てられることが多い。カミーユにジュドーなど、いずれのニュータイプも「最強」の名にふさわしい活躍を見せ人気を集めてきたが、そんな彼らでも頭が上がらないのが、ホワイトベースなどの艦長として、絶望的状況から戦場を駆け抜けてきた男ブライト・ノアその人だ。

 今回は宇宙世紀の中で艦長として1、2の能力の高さを持つブライト・ノアについて振り返りたい。

■19歳で素人軍団を引き連れたブライト

 のちのアーガマ、ネェル・アーガマなどで艦長を務め、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では「ロンド・ベル」の艦隊司令まで務めたブライト。そんな彼が最初に艦長に就任したのは19歳のときの士官候補生時代。ジオン軍の急襲を受けて艦長であるパオロ・カシアス中佐が戦死(テレビアニメ版)してしまったことで、軍歴わずか6か月足らずの彼が急遽ホワイトベースの艦長代理に任命されたのだ。

 乗組員の軍人はほとんどがサイド7で戦死または負傷により離脱しており、運用する人間はほぼ民間人という状況。激戦を重ねる一年戦争をブライトは、この民間人乗組員と、言うこともろくに聞かないパイロットたちを指揮して数少ない死傷者で生き延びたのだった。

 アムロのパイロットとしての腕前は天才的。だがまだ未熟な部分が多く、第9話ではアムロの子どもじみた言動に対して手を上げてしまう。このシーンでブライトは、「殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか!」といささか感情的に叱責しているが、大人になった今あらためて彼を見ると10代にしてとてつもない責任を背負わされたプレッシャーがセリフや行動から痛いほど伝わってくる。

 そしてその後、「俺はそれだけの才能があればシャアを超えられる奴だと思っていたがな!残念だよ!」と本音を混ぜながらきちんとフォローまで入れており、結果的にアムロはブライトの言葉をきっかけに自分の立場を自覚していく。中間管理職としてとてつもない天才の持ち主ではないだろうか。

  1. 1
  2. 2