■ローを命懸けで守り愛を教えた「コラソン」

 コラソンこと“コラさん”は「ナギナギの実」の能力者で無音人間。ルフィたちの宿敵であるドンキホーテ・ドフラミンゴ(以下よりドフィ)の実の弟で、本名は「ドンキホーテ・ロシナンテ」という。

 コラソンの回想エピソードでは、ローがドンキホーテファミリーに入るきっかけや、不治の病にかかっていたローをコラさんが連れ出し、2人で病気を治す旅をする様子が描かれていた。

 なぜコラソンが実の兄から離れてまで、幼いローと旅をすることにしたのか……その理由は、旅の最中にこぼした「まだ幼いクソガキがよ………『おれはもう死ぬ』なんて——かわいそうで…!!」という言葉で明らかとなった。ほかにも、ローがDの意志を継ぐ者だったからという理由もあるかもしれない。

 その後、ドフィから「オペオペの実」がとある島で取引されるからお前も来いという情報が入る。これは、コラソンにとっても吉報だった。

 なぜなら、この実を食べた者が医者だった場合、どんな病気でも治せてしまうからだ。コラソンは幼いころから医者の息子として医術を学んでいたローに、このオペオペの実を食べさせようと考えた。

 壮絶な戦いを繰り広げ、無事にコラソンはローにオペオペの実を食べさせる。しかし、裏切り者として、ドフィに射殺されることになったコラソン。

 このとき、ローはコラソンの後ろの宝箱のなかに身を潜めていた。「ナギナギの実」の能力によって周りはローに気づかないが、ローには外の音が聴こえており、コラソンの危機を察し泣き叫ぶロー。

「もうお前を縛るものは何もない……」「お前は もう自由なんだ………」そんなことを想い、命懸けでローを助けたコラソン。ローの大きな泣き声が響き渡ったとき、読者はコラさんの死も同時に理解した。また、その泣き声を隠すかのようにドフィたちへ向けられた海軍からの砲撃のタイミングも、奇跡的だった。

 コラソンがローを旅に連れ出さなかったら、ローは寿命を終えていたばかりか愛をも忘れたままだっただろう。また、今もドフラミンゴファミリーの一員だったかもしれない。

 回想シーンのみでの登場だが、いつまでもローの恩人としてファンを惹きつける忘れられないヒーローの一人だ。

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