当時の子どもたちが本気で震えた…「こんや、12じ、だれかがしぬ」28周年で振り返るスーファミ『かまいたちの夜』の恐怖の画像
スーパーファミコン用ソフト『かまいたちの夜」(編集部撮影)
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 今から28年前となる1994年11月25日、チュンソフト(現スパイク・チュンソフト)からゲーム『かまいたちの夜』が発売された。高い評価を得た『弟切草』(1992年)に続いて作られたスーパーファミコン用サウンドノベルシリーズの第2弾である。

 その後プレイステーションやWiiなどの後継機においても移植版が発売された『かまいたちの夜』は、スーパーファミコン版で約75万本の売上を記録。大人だけでなく子どもたちにも人気のソフトで、「本気で怖い」という噂を聞きながらも好奇心からついプレイしてみたくなり、その結果震えながらコントローラーを握っていた筆者のような小学生もいたのではないだろうか。

 同作のメインストーリーは、殺人事件を解決するミステリー。背景の上に表示されるテキストを読み進めながら、時折現れる選択肢に沿って物語が展開されるという、シンプルながらも奥深さが感じられる仕様で、やりこみたくなる面白さがある。というのも、興味をそそるキャッチコピー、豊富なシナリオ量、サウンドや画像による演出といった要素が、見る人を『かまいたちの夜』の世界観に釘づけにしてしまうのだ。

 そこで今回は、11月25日に28周年を迎えた『かまいたちの夜』の面白さについて詳しく振り返っていく。

■恐ろしくも、興味をそそるメインストーリーのキャッチコピー「あなたのせいで、死体が増える」

 このキャッチコピーの通り、プレイヤーが正しい選択肢を選ぶことができないと、その都度、殺人事件が発生する。まるでその責任がプレイヤーにあると煽るようなキャッチコピーに、多くの人が恐ろしさと好奇心を抱いたのではないだろうか。

 殺人事件の舞台は、スキー場にあるペンション「シュプール」。主人公である大学生の透とガールフレンドの真理は、スキー旅行のために真理の叔父・小林夫妻が営んでいるシュプールを訪れており、そこで事件に遭遇することになる。激しい吹雪によって帰れなくなったスキー場のペンション。ミステリーの定番ではあるが、張り巡らされた選択肢から無数に変化するストーリーになっている。

 こうした選択肢は、事件が発生する前から選択することができる。キャラクター同士の会話から、登場人物それぞれの性格や特徴を垣間見ることができ、中には彼らに親近感や愛着を抱くこともあるだろう。しかし、仲良くなったキャラクターだからこそ、自分の選択によって殺されてしまうという恐怖にもつながる。もしも正解を選べなかった場合の罪悪感や喪失感は、まさに絶望に近い。そのうえ、そんな彼らの中に犯人がいるかもしれないという疑念がプレイヤーを襲う。

 最終的に、疑心暗鬼になりながらも犯人の名前を入力しなけなければならない。疑念、不安、恐怖の中で進めていく「ミステリー編」は、『かまいたちの夜』のメインシナリオにふさわしい面白さだ。

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