■心優しい神父の悲しい物語の舞台「レブレサック」
多くの悲しいストーリーが描かれた『ドラクエ7』において、特にプレイヤーを陰鬱な気分に浸らせた街が「レブレサック」だ。
過去の世界で主人公たちが訪れる前、レブレサックは長い間魔物が放出した濃霧の影響で封印されていた。濃霧を解決すべく村人たち3人と神父は魔物が住む岩山に向かったが、彼らが戻ってくることはなかった。その代わりに、山から来た1匹の魔物が教会に居座るようになり、村人たちは魔物への憎悪を募らせていた。
主人公たちが街に到着すると、教会の魔物退治に参加するように村人から頼まれるのだが、魔物の様子を見た主人公たちは退治を止めようと訴える。しかし魔物をかばったことで、村人たちに魔物の仲間とみなされ、魔物が住む岩山に幽閉されてしまう。
そこで主人公たちはすべての騒動の原因である魔物・ボトクと出会い、真相を知ることに。岩山を訪れた村人3人はすでにボトクに殺されており、生き残った神父は、ボトクと姿を入れ替えられていた。そして、ボトクから出された「自分と姿を取り替えて魔物となるなら、お前が生きている限りは村人に手を出さない」という取引に応じて魔物の姿のまま教会に戻ったのだった。
ボトクを倒し、村に戻った主人公たちが見たのは、村人たちによって磔にされ、火炙りにされる直前だった神父の姿。ボトクを倒したことで神父は元の姿に戻り事なきを得たのだが、一歩遅ければと返しがつかない事態になっていただろう。
心優しい神父は、自分と顔を合わせては村人たちが罪悪感を抱いてしまうと、夜明け前に村から出て行ってしまう。神父が出て行ったあと、村人たちは自身の過ちを二度と繰り返さないために石碑を建てたのだが……。現代に戻ると、さらに気分が悪くなるイベントが待っている。
■希望や夢に見放され、絶望した者を引き込む「絶望の町」
最後は『ドラクエ6』で登場する、はざまの世界にある「絶望の町」。その名前通り、かつて希望や夢を抱いていた者が絶望したときに引き込まれるという設定で、絶対に訪れたくない町ではないだろうか。毒沼があり、家屋はほぼ廃墟のようになっている。
町の入り口付近に立つ男性から「あなたがたもきっとすべての希望を失うことになるでしょう」と言われるように、さまざまな町人に話しかけるも全員が希望を失っている。酒におぼれる者、無気力に横たわる者、ただ死を待つ者……プレイヤーまで陰鬱な気分になってしまう。
また、絶望の町の西にあるヘルハーブ温泉がある。この温泉に浸かると、あまりの心地よさに骨抜きにされ、さらに無気力になってしまう、という危険な中毒性のおまけつきだ。
プレイヤーたちが訪れ、無気力になっている防具職人・エンデを立ち直らせることで、町全体に希望を取り戻すことができる。紹介した3つの町の中で、唯一救いがある町となっている。
以上、『ドラクエ』に出てくる暗く悲しい街を紹介した。この他にも『ドラクエ5』のサンタローズや『ドラクエ2』のムーンブルク城など、プレイヤーによって思い浮かべる街は異なるだろう。ここではすべてを紹介することはできないが、読者の懐かしい思い出を振り返るきっかけになったら幸いだ。ぜひ、この記事を読まれた方は、印象に残っている街を思い返してみてはいかがだろうか。