臼井儀人さんによる国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』は、5歳の幼稚園児・野原しんのすけを中心に巻き起こる日々の出来事を描いたドタバタギャグ漫画だ。
野原家はしんのすけをはじめ、父・ひろし、母・みさえ、妹・ひまわり、そしてペットのシロという家族構成。本作ではやんちゃでイタズラ盛りのしんのすけに手を焼きながら、みさえが育児に奮闘する様子が面白おかしく描かれている。
基本的にはコメディー作品である『クレヨンしんちゃん』だが、しかしその魅力はギャグ回だけではない。ほろりと涙してしまう必見のエピソードも多々あるのだ。そこで今回はしんのすけが見せた「親想いな神行動」にスポットライトを当て、親世代に刺さるエピソードを紹介していこう。
■母親を思うしんのすけの姿にグッとくる「雨の日のお迎えだゾ」
『クレヨンしんちゃん』の数々のエピソードのなかでも、ファンの間で人気なのが「雨の日のお迎えだゾ」という回だ。
ある日のこと、バーゲンセールに行きたいみさえはしんのすけに“アクション仮面のビデオ”を渡し、留守番するように頼む。ワクワクして再生したしんのすけだったが、実はそれは期待したものとはまったく違う偽物のビデオだった。当然、怒ったしんのすけは部屋を荒らし、みさえを困らせようとする。
しかし、ふと雨が降り出したのが目に入り、みさえが傘を持って出かけたのかが心配になって迎えに行くことに。
一方、バーゲンで買い物をし、しんのすけが悪さをしていないかと心配しながら帰路に着くみさえの前に現れたのが、傘を持って迎えに来た泥だらけのしんのすけだった。
その姿を見て、みさえは買い物袋を投げ出してしんのすけを抱きしめる。自分が浅はかな考えを巡らせていたことによる罪悪感なのか、単に息子の純粋な気持ちが嬉しかったのかはわからないが、「ごめんね」と目元に涙を浮かべながら我が子を抱きしめるシーンは感動ものだった。
今の時代、5歳の子どもを1人残して買い物に行くことの是非はさておき、雨が降り始めたのを見て「濡れてしまうかも」と心配し、傘を持って健気に迎えに行くしんのすけの行動に思わずグッときてしまった親世代は多いのではないだろうか。