■ルールの簡略化具合はまさに絶妙!『10ヤードファイト』

 先程の『アイスホッケー』同様、海外では絶大な人気を誇るものの、当時の日本ではまだまだ知名度が高くなかったスポーツといえば「アメリカンフットボール」が挙げられるのではないだろうか。

 そんなアメフトを1985年にアイレム(現アイレムソフトウェアエンジニアリング)がゲーム化したのが『10ヤードファイト』である。もともとはアーケードゲームとして稼働していたのだが、ファミコンソフトとして移植され、同社によって発売された。

 アメフトというとどこか「ルールが難しくて分かりにくい」といった印象を抱くかもしれないのだが、本作の売りはなんといってもそのルールをゲーム用に極限まで簡略化しているということ。アメフトのルールをまったく知らずとも、なんとなくふわっとした感覚でしっかりと遊ぶことができるのである。

 このため、本格的なルールとは諸々異なるものの、あくまでゲームであると割り切れば、白熱したアメフトの試合を手軽に楽しむことができる、非常に良作な一本と言えるだろう。特に2P対戦は手軽かつ白熱した試合ができることから、「知る人ぞ知る名作」としてプレイヤーたちには愛されている。

 アメフトというもののリアリティをどこまで追求するかでガラリと評価が変わる一本ではあるものの、海外で人気の高いスポーツを果敢に取り入れた意欲作と言えるだろう。

 

 現代でこそテレビやインターネットなどのメディアが発達したこともあり、国内、海外問わず、さまざまなスポーツに触れる機会は増えてきた。だが、ファミコン発売当時、まだまだ「マイナー」と言われたスポーツをゲームに取り入れようとしたのは、爆発的なファミコンブームを乗り越えようとする、制作会社たちの試行錯誤が見受けられる。

 これらのスポーツをより深く知った現代だからこそ、いまいちどかつての名作たちをプレイしてみることで、意外な面白さを体験できるかもしれない。

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