『六三四の剣 ただいま修行中』など 当時はまだまだ知名度の低かった『マイナースポーツを扱ったファミコンソフト』3選の画像
ファミコンのスポーツゲーム(編集部撮影)

 ファミコンが発売されて以降、野球、テニス、相撲といった誰もが知っている「スポーツ」を題材にしたソフトが、数多く発売された。数々のスポーツゲームが発売されていくなか、当時としてはまだマイナーだったスポーツを題材にした、意外なゲームタイトルも存在している。

 今回は、少し時代を先取りし過ぎていたファミコンのマイナースポーツゲームについて、いくつか見ていこう。

■キャラゲーであること以上に貴重な剣道ゲー!『六三四の剣 ただいま修行中』

 剣道といえば日本を代表する武術でありながらも、なかなかメディアに現れることも少ないスポーツの一つだ。そんな剣道をベースに、当時連載されていた人気マンガを題材にしたいわゆる「キャラゲー」が存在する。

 1981年、『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載されていた『六三四の剣』をベースに、ファミコンソフト『六三四の剣 ただいま修行中』が『タイトー』より発売された。(開発は『セタ』)

 原作では主人公・六三四がさまざまな経験を経て、世界最強の剣豪を目指すというスポーツ剣道漫画なのだが、本作でも二つのモードを使って最強を目指す過程を再現している。

 本作ではゲーム開始後「武者修行編」と称した横スクロールアクションが始まり、それを乗り越えると最終ステージで「全国大会編」と称した格闘ゲームのような剣道の戦いが繰り広げられる。

 アクションと1VS1の格闘という異なるシステムを両立しているのはなんとも面白い点だが、当時のファミコンゲームの例に漏れず難易度は割と高めに設定されている。コンティニューもないことから、ゲームオーバーに心を折られたプレイヤーも多くいたことだろう。

 とはいえ、原作のキャラクターもしっかり登場し、なにより2Pでの対戦は非常にバランスが良く、構えや必殺技の駆け引きが生まれる完成度の高い一作となっている。1Pモードの高い難易度も、まさに「修行」のために必要な、乗り越えるべき壁だったのかもしれない。

■ハイスピードに慣れさえすれば完成度の高い良作!『アイスホッケー』

 当時、ファミコンを生み出した『任天堂』で1988年に発売された『アイスホッケー』も、マイナースポーツを題材にした一作だ。

 選手の人数こそゲーム用に設定されているが、忠実にアイスホッケーのルールを踏襲しており、本格的なルールに則った試合を体験することができる。

 スピード、ノーマル、パワーといった特徴の異なる選手を組み合わせることができ、ファミコンでありながらも自由度の高い遊び方ができるのは、さすが任天堂といったところか。

 そんな絶妙なゲームバランスが好評な本作だが、唯一難点を上げるとするならば、そのゲームスピード。当時のほかのスポーツゲームに比べても、とにかく選手の動きやパックの動きが高速で、慣れないうちは自分のキャラクターを制御することも危ういほどだ。気が付けばすれ違いざまにパックを奪われていた、なんてことも日常茶飯事なのである。

 ある意味でアイスホッケーが持つ「リアルな速度感」を実現した本作だが、なかなか日本国内での知名度が低いという点もあり、メジャーな一作とはいかない。だが、作り込まれた絶妙なバランスは、慣れさえすれば実に奥深いプレイができる、時代を先取りしすぎた一作と言える。

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