ファミコンゲームのジャケットと言えば、ゲームの内容を一目でプレイヤーに伝える重要な要素であり、一枚絵に秘められた数々の要素に「どんなゲームなんだろう?」とワクワクしてしまうものである。しかし、実際プレイしてみると、ジャケットから想像した内容とはどこか異なったゲーム内容でプレイヤーを困惑させたタイトルも数多く存在する。
今回は、ジャケットの印象とは異なるゲーム性からプレイヤーたちを驚かせたファミコンソフトについて紹介していこう。
■美人キャラに期待するもギャルゲー要素は皆無…『スペースハンター』
俗にいう「ギャルゲー」と呼ばれるジャンルの作品は多く存在するが、ファミコン時代からそういった美人キャラの魅力を前面に押し出した作品が多数販売されていた。
1986年に『コトブキシステム』より発売された『スペースハンター』は、ジャケットに光線剣を構えた亜麻色の髪を持つ美女が描かれており、アニメタッチのハイクオリティな姿から、「SFを舞台にしたギャルゲー」だと思ったプレイヤーも少なくはないだろう。
だが蓋を開けてみるとそういった要素はまったくなく、ドットで描かれる主人公のサイボーグ女性キャラ・アルティアナを操作し、敵を撃破していくアクションゲームだったのである。
そのギャップもさることながら、ゲームのストーリーや背景、アイテムの説明がなかったりと、アクションゲームとしても「ハード」の一言に尽きる出来の作品であったと思う。
女性をジャケットに使った「ギャルゲー」の先駆者的な作品は多数存在するが、この『スペースハンター』もそういった作品群の一つと言えるかもしれない。とはいえ、当時のマシンパワーやドットの技術では、なかなかジャケットの美女を表現しきれなかったことも、ゲームの歴史における「お約束」といえる現象ではないだろうか。
■多くの小学生を跳ね返した高すぎる難易度!!『ウィザードリィ』
“ゲーム”という娯楽が凄まじい速度で世に広まっていくなかで、「RPG」のジャンルも着実にプレイヤーたちの人気を集めていった。ファミコン時代においてもさまざまな名作RPGが発売されたのだが、なかにはその圧倒的難易度から当時の子供たちを震え上がらせた今もなお語り継がれる「名作」が存在する。
『ウィザードリィ(Wizardry)』は1981年にPC版が発売され、のちに誕生する多くのRPGに影響を与えた、まさに“RPGの元祖”ともいえる名作である。日本では1987年にファミコン版が発売された。
プレイヤーが作り上げたキャラクターで3D視点のダンジョンを探索するのだが、その自由度の高さと数々のやりこみ要素は「世界3大RPG」の一つとして、その後も数々のタイトルが生み出されている。
当時のファミコン版は、漆黒の背景に赤文字でタイトルが刻まれ、緑色の線のみでドラゴンが描かれるなど、RPGというジャンルを予感させながらも実に意味深なジャケットで、多くの子供たちを惹きつけた。
だが、カッコいいパッケージにつられて買った小学生は阿鼻叫喚……。名作である一方、その凶悪ともいえる「高難易度」は多くのプレイヤーを苦しめたことでも有名なのである。ダンジョンの攻略難易度はもちろんのこと「セーブシステムのやり直しがきかない」、「キャラクターのデスペナルティの存在」など、一つのミスも許されない徹底した難易度で、プレイした小学生たちを絶望させた。
気軽にクリアできる一本とはいかないが、それでもその後の作品に与えた影響も大きく、まさにRPG史に残る傑作の一つと言えるのではないだろうか。