■嘘予告の悪ふざけに読者もついニンマリ

 次は2021年10月期にアニメ化され話題となった、盆ノ木至氏による『吸血鬼すぐ死ぬ』。弱点の多い吸血鬼・ドラルクがささいなことでたびたび死んでしまうというギャグ漫画。原作は2015年から『週刊少年チャンピオン』で連載中で、2022年9月にコミックス第22巻が発売となった。

 同作の「嘘予告」は一応次巻の内容には基づいているものの、内容を必要以上にシリアスに描いたもの。もちろん嘘なので次巻でも当たり前のようにハイテンションなギャグが繰り広げられる。嘘予告のページには必ずどこかに「USODESU(ウソデス)」という表記があるのもほほえましい。

 クオリティがかなり高い同作の嘘予告。本編とは別に、シリアスバージョンの『吸死』も読んでみたいというファンは多いのではないだろうか。

 菌やウイルスに関わる農業大学の学生生活を描いた、石川雅之氏による漫画『もやしもん』でもコミックス第1巻から「嘘予告」があり、ページ下部には「※内容は予告なく全然変更になる場合があります」と注意書きされている。

 たとえば第1巻ではシリアスな世界が描かれ、第2巻には川浜のダイエットについてが描かれたが、該当巻にはどちらもその話は載っていない。こちらも作者の遊び心として、長らくコミックス派の読者の楽しみとなっていたようだ。

 なお、作者の石川氏は2018年に自身のツイッターで「本当はこれウソ予告です。一度雑誌でやってみたかったものでゴメン」と語り、本誌に掲載された『純潔のマリア』の嘘予告もお披露目。ファンからは「ウソ予告で良かったようなガッカリしたような」というコメントが届いていた。

 ついコミックスも集めてしまいたくなる嘘予告たち。どうせなら、この予告通りの漫画も読んでみたい。

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