■「太正桜に浪漫の嵐!」歌劇団の舞台で華麗に演じた少女たちが華撃団の隊員として悪を討つ!『サクラ大戦』
セガサターン用アドベンチャーゲームとして誕生し、2000年についにアニメ化となった『サクラ大戦』も見応え抜群の舞台シーンが楽しめる作品だ。日本の大正時代に似た「太正」を舞台に、帝都を守るため霊力を持つ乙女たちが「帝国華撃団」として戦う姿を描いた同作。ゲームではプレイヤーの分身である大神一郎視点で物語が描かれていったのに対し、アニメでは真宮寺さくら寄りの視点だった。
有事の際には霊子甲冑に乗り込み戦うも、平時の彼女たちは「帝国歌劇団」として舞台に立つ少女劇団員。そのため、作中ではさくらを初めとした団員たちが真剣に役作りや稽古に打ち込む姿が描かれている。とくにアニメではミスするさくらを帝劇トップスタァ・神崎すみれが叱責するが、こうしたシーンも舞台に上がる者としてのリアルな演出に思えた。
原作に『魔神英雄伝ワタルシリーズ』の広井王子氏、キャラクター原案に『テイルズ オブ シリーズ』の藤島康介氏を迎え、アニメでは脚本などに『NG騎士ラムネ&40』のあかほりさとる氏が参加している豪華布陣。
また、横山智佐や富沢美智恵など声優陣も実力派ぞろいだったが、とくに注目するのが『ONE PIECE』のルフィなど少年の声で有名な田中真弓がゲームに引き続き桐島カンナを担当していたこと。大柄で武闘派だが、まれにみせるテレた様子やかわいらしい表情を田中氏が熱演していた貴重な作品だ。
■「幻の大技」の次は「天使の大技」?ステージの妖精に選ばれた少女の演技がみんなを笑顔に!『カレイドスター』
最後に紹介するのは2003年から1年間放送された『カレイドスター』。アメリカの「カレイドスター」に入団した苗木空が、花形スターへと成長するまでの姿を描いた作品だ。
「カレイドスター」とはシルク・ドゥ・ソレイユなど、サーカスを中心にミュージカルやマジックを組み合わせたようなエンターテイメント集団である。主人公の空は幼い頃に見た「カレイドスター」に憧れ単身アメリカに渡り、レイラ・ハミルトンや仲間たちの出会いにより演者として成長していく。
作中には「ステージに選ばれた者」のみが見えるステージの妖精・フール、「幻の大技」や「天使の大技」など少し現実離れをした設定が盛り込まれているものの、基本は人間関係や家族愛などが丁寧に描かれている。余談だが、筆者はこの作品でジャグリングの「ディアボロ」を知った。
舞台や演劇といえば美内すずえ氏の『ガラスの仮面』を思い浮かべる人が多いかと思うが、本作は別名「スポ根演劇漫画」とも称されている。華やかな舞台の裏側で、演者たちがアスリート顔負けの「熱意」と「根性」でどんな苦難をも乗り越えていくのであろう。