■『ハウルの動く城』ヒンのモデルは押井守監督
ジブリ作品では、動物のキャラクターのモデルが実在する人物だったという驚きのエピソードもある。それが2004年に公開された『ハウルの動く城』のヒンだった。
ヒンはハウルの師匠で強大な力を持つ魔法使い・サリマンの使い魔の犬だ。かなりの老犬で大きく垂れ下がった耳と気だるそうな目が可愛らしいのだが、このヒンのモデルについて、ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏が衝撃の事実を明かしている。
2021年4月2日に投稿された「スタジオジブリ公式ツイッター」では、ファンからヒンのモデルが、“押井守監督”ではないかと聞かれた鈴木氏が「本当です。顔がソックリでしょ(笑)」と返信をしたのだ。
押井監督といえば、アニメ『うる星やつら』『機動警察パトレイバー』をはじめ、数々の作品を手がけてきた日本を代表する名監督。宮崎監督と押井監督の親交が深いことはファンの間で有名だが、犬にまつわるこんなエピソードがある。
犬を溺愛するあまり伊豆に引っ越したり、家の周りに犬の通路を作ったりと過保護すぎる押井監督に対して、宮崎監督が「汁かけ飯で飼っていた犬が17年生きた」と持論を展開し喧嘩に発展したことがあるというのだ。(参考:『風の帰る場所ーナウシカから千尋までの軌跡』)
「なにを犬に狂ってるんだ、バカってね(笑)」なんて、宮崎監督はお得意の毒舌を披露していたが、そんな裏事情もあって押井監督を犬のヒンのモデルにしたのでは?と、かねてからファンの間では噂になっていたのだ。それが事実だったというのだから、予想をしていたファンは沸き立ってしまったことだろう。
それにしても、言われてみれば確かに似ている……。仲が良いからこそのことであろうが、友人をまさかの動物のキャラクターにしてしまう宮崎監督のユーモアにはなんだかほっこりしてしまった。
実在する人物がモデルとなったジブリキャラたち。生きざまや性格、容姿がモデルになっていたりとさまざまだが、そのどれもが愛されるキャラクターとして登場していた。
公表はされていなくとも、「あの人がモデルなのでは?」と感じるキャラクターはほかにもいる。ぜひ、“モデル探し”をしながら作品を楽しんでみてはいかがだろうか。