『ハウルの動く城』の“荒地の魔女”や“使い魔の犬”も… スタジオジブリ映画で「実在する人物がモデルとなったキャラクター」3選の画像
© 2004 Studio Ghibli・NDDMT

 さまざまな個性が光るスタジオジブリのキャラクターたち。魅力的なキャラたちのなかには、実在する人物がモデルとなったケースも多くあるという。そこで今回は、モデルが明かされているジブリキャラについて紹介していこう。

■『ハウルの動く城』荒地の魔女のモデルは美輪明宏

 ジブリ作品には欠かせない存在の美輪明宏。『もののけ姫』(1997年公開)では巨大な山犬の「モロの君」を演じ、圧倒的な存在感を放っていたのはご存じだろう。

 そんな美輪のもう1つの代表作が、『ハウルの動く城』(2004年公開)の「荒地の魔女」だ。荒地の魔女はハウルを苦しめる対抗馬として登場するキャラクターだが、物語の終盤では魔力をほとんど失い、可愛らしいおばあちゃんになってしまう憎めないキャラ。

 美輪は宮崎駿監督に荒地の魔女役の声優を頼まれたとき、「どうして私が魔女なんですか?」と聞いたところ「何度描いても、どうしても美輪さんの顔になってしまう」と監督から言われたと、完成披露試写会で明らかにしていたようだ。

 さらに、荒地の魔女を見た美輪から「私こんなデブですか」と聞かれた監督が、黙ったままニヤッと笑っていたというエピソードが美輪のラジオ『薔薇色の日曜日』(TBSラジオ)で語られており、2人の仲の良さがうかがえる逸話もある。

 監督のお茶目な反応を見て、荒地の魔女役の声優を引き受けることにしたという美輪。荒地の魔女は美輪のもつ高貴で妖艶な雰囲気がそのまま表現されており、モデル本人が声優を演じたこともあって、一度見たら忘れられないインパクトのあるキャラクターになっていた。

■『魔女の宅急便』ウルスラのモデルは今井美樹

 同じく芸能人をモデルに起用したのが、『魔女の宅急便』(1989年公開)に登場する画家の少女・ウルスラだ。ウルスラは主人公・キキの成長に大きな影響を与えた、明るく活発で自由な雰囲気のキャラクターだ。

 そんなウルスラのモデルと明かされているのが、歌手であり女優の今井美樹。「ひとりで奔放にやっている女性」という今井のイメージが、気ままに一人暮らしをして好きな絵を描いているウルスラの雰囲気に近いんじゃないかと参考にしたことを、本作の作画監督・近藤喜文氏が明かしている。

 また、今井は『おもひでぽろぽろ』(1991年公開)の主人公・岡島タエ子の大人バージョンで声優を担当しているのだが、このタエ子のモデルにもなっているそうだ。

 27歳のタエ子について、よりリアルで人間味がある容貌のことを指す「デコボコした顔がほしい」と注文をつけた高畑勲監督。本作でキャラクターデザインを務めた近藤氏は、“俳優なら誰か”と模索し、今井をモデルにしたと『ジブリの教科書6 おもひでぽろぽろ』に収録されているインタビュー内で話していた。

 確かに、歌手と女優の顔を持ち第一線で活躍している今井は、“自由奔放”という言葉がよく似合う女性だったのだろう。そんな彼女の魅力は、ジブリキャラともリンクしやすかったのだと思う。

  1. 1
  2. 2