■“大往生流”の使い手は知識においても隙なし!『魁!!男塾』雷電
バトル漫画ではたびたび謎めいた流派や闘法といったものが登場するが、宮下あきら氏の『魁!!男塾』は、そんなとんでもない技のぶつけ合いが醍醐味ともなっている作品だ。
さまざまな武術を身に着けたキャラクターたちがしのぎを削るなか、「大往生流殺体術」の使い手である雷電は、男塾の名解説役としてあまりにも有名である。
ことあるごとに「むうっ、あれは世に聞く◯◯!」と素早く反応し、「知っているのか雷電!?」と驚く仲間たちに解説を始める流れは、本作の名物にもなっているほどだ。
その知識はまさに圧巻の一言で、流派の起源はもちろん、インドの秘境にのみ伝わる薬草や、刃で攻撃してくる雪ネズミの生態なんてものについても序の口。対戦相手として登場した拳法集団「厳娜亜羅十六僧」に至っては、なんと3ページも使って経歴から過酷な修行の内容までを解説してみせたりもしている。
さらには雷電自身が撃破した強敵から3匹の拳法猿を引き取り、それ以降、新たな相棒としてともに戦うなど、作中でも常に新たな技術を身に着け、その知識の幅を広げ続けた稀有なキャラクターである。
試合や戦いで飛び出すとんでもない技や展開をすかさず補完してくれることで、読者をより深く作品に引き込んでくれる解説役は、漫画において非常に重要なポジションと言える。
ほかのキャラクターたちに実力では劣ると見られがちな解説役だが、一方で博識な彼らだからこそ魅せることができる戦い方も存在する。その活躍を見ていると、戦いとは「力」のみならず「知」による攻防も、非常に重要な要素なのだと痛感してしまう。