『ジョジョ』スピードワゴン、『グラップラー刃牙』本部以蔵も…バトル漫画における“解説キャラクター”の「博識エピソード」3選の画像
少年チャンピオン・コミックス『グラップラー刃牙』第13巻(秋田書店)

 古今東西、さまざまなバトル漫画が存在するなか、キャラクター同士の戦いを盛り上げるために欠かせないのが「解説役」を担う博識キャラの存在である。戦いのなかで何が起こっているのか、新たに登場した技や能力は何なのかを彼らがすかさず解説してくれるため、読み手もより一層世界観に没入できるというものだ。

 今回は、バトル漫画における名解説キャラクターたちの活躍を見ていこう。

■もはやその名解説は公式公認!『ジョジョの奇妙な冒険』ロバート・E・O・スピードワゴン

週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1986年より連載を開始した人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。物語の記念すべき第1部では、主人公・ジョナサンと吸血鬼となった宿敵・ディオの壮絶な戦いが描かれる。

 そんなジョナサンに同行する男こそ、本作の名解説役として有名なロバート・E・O・スピードワゴンだ。ジョナサンが激闘を繰り広げるなか、ことあるごとに凄まじいリアクションと的確な場面描写で、場を盛り上げてくれている。

 それだけでなく、作中では自身の身を挺して仲間を救うシーンもあった。ディオの力によって凍り付いてしまったツェペリ男爵の腕を、なんと己の胸に押し当て、体温によって溶かしてしまうのだ。これはエスキモーたちが「アザラシの体内で凍傷を治す」ということを知っているがゆえの行動であった。

 博識なだけでなく、いざとなれば自身の苦痛すらかえりみずに仲間を救う、スピードワゴンのタフな精神力が垣間見えるシーンである。

 本作での解説役が人気を博したためか、その後ゲーム作品などでもナレーション、解説ポジションを勝ち取っているスピードワゴン。目立った能力こそ持たないが、解説役としての強い存在感を放つ名脇役だと言えるだろう。

■解説役が強くて何が悪い!?『グラップラー刃牙』本部以蔵

 解説役というと、いわゆる「達人」のような老獪なイメージを抱く人も少なくはないだろう。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて1991年より連載された『グラップラー刃牙』にも、そんないぶし銀な達人解説役が存在する。

 物語序盤から登場する本部以蔵こそ、本作の名解説役を担うキャラクターだ。武術家としてのギラついた一面を見せる傍らで、作中の闘士たちの戦いにすかさず解説を行う場面がしばしば見受けられた。琉球王家に伝わる奥義・御殿手を知っていたり、イメージトレーニングがもたらす効果の高さを解説したりと、「武」についての造詣の深さが伝わってくる。

 解説役としてのイメージが確立しつつあった彼だが、なんと再び「武術家」としての頭角を現しだし、第2部『バキ』では死刑囚の一人・柳龍光を、そして第4部『刃牙道』では最強キャラの一角であるジャック・ハンマーを、身に着けた武術で討ち取ってみせた。

 この唐突な快進撃に読者はおおいに驚いたのだが、作者曰く「本部が強くて何が悪い」とのこと。身に着けた武と知識で思わぬ下剋上を果たした、意外な解説役と言えるだろう。

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