『黒子のバスケ』『鋼の錬金術師』キワモノなだけじゃない!名エピソードを生んだ「二重人格」キャラたちの画像
ガンガンコミックス『鋼の錬金術師』12巻(スクウェア・エニックス)

 漫画やアニメのキャラには、ふとしたきっかけで性格を豹変させる「二重人格キャラ」がいる。『ドラゴンボール』のランチのように、くしゃみひとつで見た目まで変わるものや、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の本田速人のようにバイクのハンドルを握ることで凶暴になるものなど形はさまざまだ。

 コメディからバトル漫画までいろいろなジャンルの作品で登場するこれらのキャラは、やはり2つの性格や容姿の変化の振り幅に応じてインパクトも大きくなる。どうして二重人格になってしまったのか、二重人格になったことで周囲に与えた影響はどれほどなのか。気になる点を含めて、二重人格キャラを厳選して紹介していきたい。

■『黒子のバスケ』赤司征十郎

 まずはスポーツ漫画の世界から、藤巻忠俊氏によるバスケ漫画『黒子のバスケ』に登場する赤司征十郎だ。赤司は帝光中学で“キセキの世代”と呼ばれる、10年にひとりの逸材が5人集まったチームのリーダーとして活躍し、全中三連覇を成し遂げた立役者である。三軍にいた黒子の才能を見抜いて、幻の6人目にしたのも赤司だ。

 “キセキの世代”は中学卒業後、それぞれ別の高校へと進学し、赤司は洛山高校へ入学する。赤司は勝負に勝つことに常にこだわり、「僕に逆らう奴は親でも殺す」と話すほどだが、これはもともとの赤司ではなく自らが作り出した別人格によるセリフ。その原因は父親の英才教育と母親の死が関係している。

 赤司にとってバスケットは唯一の安らぎの時間だった。しかし中学2年生のときに、監督の交代や仲間の才能の開花によってバスケが楽しめなくなってしまう。極めつけが紫原敦との1on1で負けそうになったことで別人格が顔を出す。そこから勝利至上主義へと変貌を遂げ、これまでの赤司とは違い勝って当たり前という考えになったのだ。

 そんな赤司が元に戻ったのは、黒子率いる誠凛高校とのウィンターカップ決勝戦。火神と黒子によって「天帝の眼」を破られ、2点差にまで迫られタイムアウトを取った瞬間。チームの黛千尋に「無様だな」「つーか誰だお前」と見下ろされた赤司は自問自答し、それまでの態度から一変。「オレは赤司征十郎に決まっているだろう」と、自らの見苦しいプレーを素直に謝罪して吹っ切れた様子でコートへと戻った。

 そして本来の赤司に戻ったことで、洛山高校はこれまでにないパフォーマンスを発揮。それまで天才的プレーを見せてきた別人格の赤司だったが、本来の人格がチームに大きな影響を与えたことでまた大きな感動を生んだ。

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