女子が男子校に潜入する『花ざかりの君たちへ』も! 少女漫画で「ありえないけど“あるある”の設定」3選の画像
花とゆめCOMICS『花ざかりの君たちへ』 第1巻(白泉社)

 現実にはありえないような設定で、読者を楽しませてくれる少女漫画たち。ありえないと分かっていても憧れてしまうような物語は、日々多くのファンの心を癒してくれている。今回はそんな少女漫画のトリセツとして、「ありえないけど“あるある”」の設定が面白い作品を紹介していこう。

 

※以下には、コミック『花ざかりの君たちへ』『私がモテてどうすんだ』『ハニーレモンソーダ』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

 

■可愛い女子が男装をして男子校に潜入!『花ざかりの君たちへ』

 中条比紗也氏の『花ざかりの君たちへ』(白泉社)は、可愛い女子が全寮制の男子校へ潜入するという少女漫画の王道ストーリー。

 憧れの走高跳の選手・佐野泉に会うため、彼の通う全寮制男子校“桜咲学園”へ入学する主人公・芦屋瑞稀。彼女はテレビで偶然目にした佐野に憧れ、単身でアメリカから帰国するほど筋金入りの大ファンだった。

 長かった髪の毛をバッサリ切って男装した瑞稀は中性的な顔立ちをしており、小柄な少年のようにも見えて怪しまれることなく学園生活を送ることになる。

 瑞稀が女性であることは佐野をはじめごく一部の人間にはバレているものの、物語終盤まで偽られたまま。最終的には全校生徒に性別がバレて、退学するという結末だ。

 作中では、瑞稀を女子とは知らずに恋に落ちるクラスメイトなんかも登場する。自分の抱く恋愛感情に困惑し苦悩するという、“ある意味”かわいそうなキャラクターだった彼もまた、“あるある”なのかもしれない。

 なんとももどかしかったのが、瑞稀が性別を偽っていることで佐野との恋愛がなかなか進展しない点だ。佐野は瑞稀を序盤から女子として認識しているものの、彼女自身はその事実を知らない。

 どう見ても両思いの2人だが想いが通じるのは物語の終盤で、1番近くにいるのに進展しない様子にやきもきしたファンも少なくないだろう。そのため、佐野が瑞稀への想いを隠さなくなってからの甘々ぶりは「待ってました!」と言わざるを得ない待望の展開だった。

 このように漫画やアニメの醍醐味でもある「現実ではありえない設定」を楽しめる本作。性別を偽って好きな人の近くで生活をするドキドキ感が、少女漫画らしい名作だと思う。

■痩せたら超美少女でモテモテ『私がモテてどうすんだ』

 痩せたら美少女に……なんて夢のようなストーリーが描かれていたのが、ぢゅん子氏の『私がモテてどうすんだ』(講談社)だ。

 生粋の“腐女子”である芹沼花依は、妄想が大好きなぽっちゃり女子。ある日“推し”のシオンというキャラクターが亡くなり、そのショックで食事を摂れず泣き暮らすのだが、1週間の引きこもり生活を経たあと、彼女は以前の姿からは想像もつかないほど衝撃的な大変身を遂げていた。

 痩せて学校中の生徒が振り返るほどの美少女となった花依は、4人のイケメンから想いを寄せられ逆ハーレムを体験することになる。しかし、本質が変わらない彼女は自身の恋愛には興味がない……というストーリーだ。

「冴えない女子が痩せて大変身」というのは少女漫画には“あるある”の設定だが、本作の面白いところは「ヒロインがモテて困っている」ところだと思う。

 そもそも、腐女子である花依はイケメン同士の恋愛が見たいキャラクター。それゆえ、自分がモテてしまっていることに困り、煩わしささえ感じているのだ。

 そんな彼女が少しずつイケメンたちへ目線を向け、恋に発展していく……そんな初々しい花依の恋愛模様を、ハラハラドキドキと楽しみにしていた読者も多いだろう。

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