『HUNTER×HUNTER』思わずクスリと笑ってしまうものも…? 緊迫感ある展開で飛び出す冨樫義博作品ならではのセリフたちの画像
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 11月4日、冨樫義博氏による人気漫画『HUNTER×HUNTER』のコミックス最新刊となる第37巻が発売となった。2018年10月に第36巻が発売されて以来、4年ぶりとなる新刊。そして10月24日発売号の『週刊少年ジャンプ』からは3年11か月ぶりに本誌連載が再開されており、あらためて『HUNTER×HUNTER』を読み返している人も多いのではないだろうか。

 緊張感あふれるバトルに先の読めないストーリー展開。同作を振り返るたび新たな魅力に気づかされるが、筆者が「これこそ冨樫氏の作品ならでは」と、ついページをめくる手を止めたくなってしまうのが、独特すぎるキャラたちのセリフや行動の数々だ。

■度肝を抜かれた「イルミの穴掘り」

 まずは、ゾルディック家長男のイルミと戦闘狂奇術師・ヒソカの2人。ここまでの展開で何度か彼らのシーンが描かれてきたが、あくまで絶妙な距離感でビジネスライクな関係を続ける2人は非常にシュールだ。

 常に共闘しているわけではなく、あくまでも互いの利害関係が一致するときにだけ協力する。ギリギリで成り立っているように見える彼らのやりとりが、『HUNTER×HUNTER』のシリアスな展開が続く中で絶妙な「緩」のリズムを生み出しているように思う。

 その一つが「ハンター試験編」、ゼビル島で行われた第四次試験中での2人のやりとりだ。

 作中初めてイルミが針で顔を変えられることが明かされたシーンだが、さらに読者の度肝を抜いたのが、モグラのように地面に穴を掘りその中に入りながら放ったイルミの一言、「じゃ、オレリミットまで寝るから、がんばってね」というもの。プレートを奪うために死闘を繰り広げるシリアスさの中で、突如描かれた「イルミが土の中で寝る」というぶっ飛んだ発想。しかも穴の中から顔だけヒョコッと出したイルミがなんともかわいい。

 そしてその状況を当たり前のように受け入れるヒソカが、さらにシュールさを際立たせていたのも笑えるポイントだ。冨樫氏にしか描けない、突っ込みどころ満載のシーンだと言えるだろう。

 作中ではイルミはヒソカに対して「クロロより付き合いちょっとだけ長いしね」と言っているシーンがあるが、実は2人がどのようにして出会ったのかということはまだ明らかにされていない。今後もしそのあたりも描かれることがあれば、2人の関係性がより深く面白くなっていくだろう。

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