■キャラがみんなブチ切れているように見えるのはなぜ?
さて、『ガンダム』シリーズを視聴していて難しいと思うのが「キャラの会話」だ。
セイラ・マスがカイ・シデンをビンタしたあと、カイが「お高く止まりやがって! あ、あんた、セイ、セイラとか言ったよな」と言うと、セイラが「そんな! 不良みたいな口のきき方! おやめなさい!」と説教していて衝撃を受けた。
けが人を運ぶことを手伝わず、他に避難民がいないか尋ねたセイラに「知らねえな」と言った彼の態度は悪い。ただ、駆け寄ってきていきなりビンタをかまし、ブチ切れるセイラさんはすごい方だと思った。
生まれた世代のせいだろうか、戦闘後のアムロに対するブライトさんの当たりの強さも気になった。「ガンダムの性能を当てにしすぎる。戦いはもっと有効に行うべきだ」と非難するブライトさんに、アムロは「な、な、なに……」とキレていたが、ブライトさんもっと優しくしてあげればいいのに……と。
「なんでキャラの沸点がめちゃくちゃ低いのか」という問いに、兄曰く「戦争中で人も死にまくり、戦闘員も寄せ集めで、ちゃんとした兵士じゃないっていう極限状態だから」。
確かに、ブライトさんは「甘ったれるな。ガンダムを任されたからには貴様はパイロットなのだ! この船を守る義務がある」と叱り、ブチ切れるアムロに対して「こう言わざるを得ないのが現在の我々の状態なのだ」と冷酷とも思えるような言葉をぶつけていた。
それもこれも、異常事態に対応していて精一杯だったからかもしれない。セイラさんのビンタにしたって、人命が失われている非常時にふざけた態度を取るカイの目を覚ますためのものだったのだろう。
不可解だった登場キャラたちのケンカ腰については納得がいったのだが、やはり視聴中、「この人たちが話しているのは何のことを指しているのか」とたびたび疑問に思った。
「サイドって何?」「スペース・コロニーの集合体みたいな意味」
「ムサイって何?」「船の種類の名前」
「木馬って何?」「ホワイトベースのこと」
そんなやり取りを兄と繰り返した。
今まで『ガンダム』シリーズをチラ見しただけで「何をやっているのか全くわからない」と思ったのは、設定がしっかりと作り込まれているがゆえに、独自の単語が何を指しているのか分からなかったことが大きな原因だったようだ。