11月4日は『機動戦士ガンダム』の主人公、アムロ・レイの誕生日だ。1979年から続く『ガンダム』シリーズが今なお多くのファンを魅了していることに「スゴい」と感心しつつ、ガンダム作品は数が多すぎて「何から見ればいいのかわからない」、見たとしても「何が起こっているのか理解できない」という点で食わず嫌いしていた。
現在アラサーの筆者だが、この先の人生を考えれば、今からガンダムをたしなんでおいても決して遅くはないはずだ。そこで、ガンダムのアニメを見ては熱心にガンプラを作っている不仲な兄に、「初代ガンダムを見るから隣で解説をしてくれないか」と依頼した。
しかし、兄は「俺が好きな『鉄血のオルフェンズ』は“宇宙世紀もの”じゃないし、ぶっちゃけファーストには詳しくないからムリ」と拒否。粘り強い交渉の末、1000円と引き換えに『機動戦士ガンダム』の1話から3話までを兄に解説してもらいながら視聴した。
■もはや“異文化交流”に近いガンダム視聴体験
視聴してまず驚いたのは、アムロがあの有名なロボット「ハロ」を開発していたことだ。彼があのマスコット的なやつを開発したんだな……と驚いていると、そのアムロが避難指示に従わず勝手に行動していたり、女の子であるフラウ・ボゥの目の前でもランニングシャツにパンツという姿だったりして、「ちょっと常識がないなあ」と思ってしまった。ただ、アムロのメカオタクぶりや性格を示すにはふさわしい演出だったようにも思う。
友人らしきハヤトというキャラが柔道着をぶら下げていて、「とりあえず柔道は存在する世界なのかな?」と思ったが、3話でハヤトが「相手がいくら大きい人でも、腰を引いた瞬間とかバランスを崩した時なら倒せるものです。これ、柔道の話ですけど」と話していたので、やっぱり柔道はあるんだ、と合点がいった。
その後、アムロが地面に寝そべっているモビルスーツの胸元にかかった布を取ると、おあつらえ向きな感じで搭乗口が開いていたので、「なんで開いてるの?」と兄に聞いてみたが、「なんか知らんけど、開いてる」と身もふたもない返答。
「え、勝手に乗るん!?」と驚いていると、その後アムロはザクを倒し、連邦軍側の人たちは“パイロットは誰かわからんけど、新型モビルスーツが活躍しとるな……”といったノリになっていた。「極秘の兵器が勝手に動いてたらもうちょっと焦ったほうがいいのでは」と素朴に感じたりもした。
次に疑問に思ったのは、筆者でも聞いたことのある有名人・シャアの服装だった。仮面にヘルメット、手袋、ブーツを着用しているが、ジオン軍のリモート会議では特に彼のようなファッションをしている人はいない。
「シャアの仲間も着てると思ってたけど違うの?」と質問すると、「ドズルも肩にトゲつけてるし、個人的なオシャレでは? 知らんけど」と兄。シャアのオシャレコーディネートを許しているジオン軍は優しいのかもしれない。
そんなシャアは新型モビルスーツの情報を探るためサイド7に侵入し、目立ちすぎる赤色のセットアップで行動もするし、自ら機体を操って戦っている。
「シャアって少佐やんな? 多分偉い人なのに最前線に出すぎでは?」と兄に聞くと「さあ。アニメやからやろ」と一蹴された。おそらくこれはガンダム世界の戦争スタイルとしてはスタンダードなのだろう。
こんな風に視聴しながら疑問に思ったことを口に出していると、兄まで影響されてしまったのか、シャアのリモート会議で上司らしき人が全身映っている様子を見て、「引きで撮りすぎやな」といったツッコミを入れるようになっていた。