アニメでたくさんのキャラクターを演じ分け、私たちを楽しませてくれる声優たち。アニメのエンドロールを見ているとき、同じ声優の名前を発見し「あのキャラとこのキャラは同一人物だったの!?」と、驚いてしまった経験がある人は多いはず。そこで今回は、演じるキャラクターのギャップが激しい器用な声優を厳選してお届けしたい。
■『新世紀エヴァンゲリオン』加持リョウジと『それいけ!アンパンマン』めいけんチーズの山寺宏一
日本で活躍する声優のなかで、“七色の声を持つ男”と呼ばれている声優がいる。ご存じ、山寺宏一氏だ。ジム・キャリーやトム・ハンクス、ブラッド・ピットなど錚々たる面々の吹き替えを担当する山寺氏。彼は吹き替えだけでなく、数々のアニメ作品でも重要なキャラクターを演じてきた。
山寺氏が渋い大人の男性を演じて人気を博したのが『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの「加持リョウジ」だった。特務機関NERVの諜報員である加持は、くわえタバコが似合うミステリアスな色男。山寺氏のクールで色気たっぷりの演技が冴える、イケメンキャラクターだ。
その一方で、実は山寺氏は1988年から『それいけ!アンパンマン』の「めいけんチーズ」も担当し、レギュラー出演している。チーズはアンパンマンに助けられたことから、ジャムおじさんのパン工場で一緒に住むようになった犬。当然鳴き声は「ワンワン」が主流であるが、その限られた語彙で感情を豊かに表現する手腕には感嘆してしまう。
さらに山寺氏は、同作の「かまめしどん」、「カバオくん」などの主要キャラのほか、2019年から2代目「ジャムおじさん」までも担当しているというから驚きだ。
チーズと加持リョウジのような、両極端なキャラクターを見事に演じる山寺氏。“七色の声を持つ男”の異名にふさわしい、名声優であることに間違いないだろう。
■『ONE PIECE』ブルックと『いないいないばぁっ!』ワンワンのチョー
俳優やナレーターとしても活躍するチョー氏。彼の事務所「排協」では、プロフィールに「特技:猫のいかく声」なんていうお茶目な一面も記載されている。
そんなチョー氏も、幅広い役柄を演じていることで有名だ。たとえば、国民的アニメ『ONE PIECE』の「ブルック」。ブルックは主人公・ルフィ率いる“麦わらの一味”の音楽家で「ヨホホホ」が口癖のガイコツ。“ヨミヨミの実”を食べて蘇ったが、魂が蘇るのが遅れてしまい体がガイコツになってしまったというユニークなキャラだ。
愉快な口調で話すブルックの声は一度聴いたら忘れられないだろう。いつもは陽気だが、真剣な戦闘モードに入ると「“鼻唄三丁” “矢筈斬り”……」なんてカッコよく呟いてドキッとさせられることもある。
そんなチョー氏だが、実は1996年の放送開始から長きに渡って『いないいないばぁっ!』(NHK)の「ワンワン」も担当しているのをご存じだろうか。さらに彼は、ワンワンの着ぐるみ操演や作詞作曲までも担当しているというから、二度びっくりである。
温かみのある独特な声で、子どもたちから愛されるワンワン。放送開始から26年の長寿番組となったが、チョー氏といえば、それ以前の1984年から1992年には、NHK教育番組『たんけんぼくのまち』の主役チョーさんをコミカルに演じていたことでも有名だ。3世代にわたってお世話になっている人もいるだろう。幼児系番組から国民的アニメまでをこなすチョー氏は、あらためて唯一無二の存在であると思った次第だ。