■アムロ以上だった『F91』シーブック

 同じく機械いじりを趣味として育ち、ガンダムMk-IIを強奪するというデビューをかざったカミーユ・ビダン。ジャンク屋育ちでMSの扱いに慣れているとはいえ、マニュアルやデータも見ずにZガンダムを動かしヤザンを撃退する離れ業を見せたジュドー・アーシタ。MS操縦を含めた英才教育を受けて育ち、敵MSを操ってザンスカール帝国の軍隊であるベスパのMS部隊を撃退したウッソ・エヴィン。

 彼らのようにガンダムの主人公たちはそれぞれ違った形で序盤から天才性を発揮しているが、アムロ以上のすさまじい初搭乗を見せたのが1991年の映画『機動戦士ガンダムF91』のシーブック・アノー。彼は初陣で3機を撃墜し、歴代主人公でもトップクラスの戦果を上げている。

 クロスボーン・バンガードからコロニーを守るため、人手不足のために成り行きでガンダムF91に搭乗することになったシーブック。「逃げ回りゃ死にはしない」とやむを得ずといった心持ちで、最初は壁にかけてあるライフルをとるのもおぼつかなかった。

 だが、いざ戦場に出たシーブックは敵MSによるグレネードをかわすと、そのまま腕部のシールドで射撃を弾きながらビームサーベルを取り出し一刀両断。続けて同時に襲いかかってきた2体の攻撃をかわし、宙返りをしながら上空に向けてビームライフルを発射し、いわゆる「2枚抜き」の形で計3体を撃墜したのだった。

 ガンダムF91の開発には彼の母親が関わっており、搭載されているバイオコンピュータがシーブックに適していたとはいえ、初陣で3機撃墜の戦果は尋常ではない。

■未完成OSをその場で完成させた少年

 また2000年以降の作品でもとんでもない初搭乗を見せるガンダム主人公たち。

『機動戦士ガンダムSEED』で、中立国オーブのコロニー「ヘリオポリス」の学生だったキラ・ヤマトの初陣もすさまじかった。ザフト軍の襲撃に遭い、成り行きで地球連合軍の女性士官であるマリュー・ラミアスとともにストライクガンダムのコクピットへ避難することになったキラ。

 敵MS・ジンに一方的にやられていたマリューが操るストライクガンダムだが、その動きを見て、いても立ってもいられず操縦に参加。そして機体のOSを軽く覗くと呆れたように「むちゃくちゃだ! こんなOSでこれだけの機体を動かそうだなんて」と批判し、猛スピードでプログラムをいじりはじめる。

 頭部バルカンやパンチによって襲い掛かるジンをしりぞけ、その隙を見計らって「キャリブレーション取りつつゼロ・モーメント・ポイントおよびCPGを再設定……なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結、ニュートラルリンケージ・ネットワーク再構築」など早口で呟きながらその場でOSを書き換え、予備武装のナイフでジンを撃破したのだった。

 

 あらためて振り返ると『ガンダム』シリーズの主人公は、成り行きで搭乗することが多いものの、そのほとんどが初陣で一般兵以上の戦果をあげている。華々しいデビュー戦はアニメとしても盛り上がるシーンなので、初見ではどうしても心が躍る。

 10月より放送開始となった最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は序盤からモビルスーツが登場しているが、先行配信された前日譚「PROLOGUE」では驚きの“初搭乗”も描かれていた。この後、主人公スレッタ・マーキュリーを中心にどのような物語が展開されるのか楽しみにしたい。

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