『昭和元禄落語心中』『異能バトルは日常系の中で』声優の技術に驚く!演技が大変そうだったアニメの名セリフの画像
『異能バトルは日常系のなかで』(C) 2014 望公太・SBクリエイティブ/泉光高校文芸部

 漫画やライトノベルがアニメ化する際、ファンが注目する要素のひとつが「声優の演技」だろう。アニメ化にあたって、名シーンがどう再現されるのかという期待は、原作ファンにとっては楽しみでありそして不安でもあるものだ。

 もともとフィクションで、人間がしゃべることを前提としていないものに声をあてるのだから、漫画の中にはとんでもない長セリフやしゃべるのが難しそうな言葉を使うキャラも登場する。だがときにはそんな難題を軽々超えてくる凄腕声優もおり、そうした名シーンが登場するエピソードが神回として語り継がれたりもする。今回は、数あるアニメの中から、声優の手腕が光った「演技が大変そうだったセリフ」を抜粋して紹介したい。

 まずは、平野耕太氏の漫画『HELLSING』に登場する「ミレニアム」の少佐の演説。同作は20世紀末のイギリスを舞台とした、吸血鬼と吸血鬼ハンターの戦いを描いたバトル作品だ。

 原作漫画9話には、「諸君 私は戦争が好きだ」から始まる少佐の13ページにも渡る開戦前の演説が掲載されている。これをOVAでは声優の飛田展男が6分以上にわたって完全に再現。原作版とOVA版では終盤のセリフが少々異なっているものの、「悲鳴を上げて燃えさかる戦車から飛び出してきた敵兵をMGでなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった」「恐慌状態の新兵が既に息絶えた敵兵を何度も何度も刺突している様など感動すら覚える」など残酷なことを嬉々として語る内容は同じ。

 セリフスピードは決して早くないが、兵士たちを鼓舞するような言い回しは、まさにリアルな演説そのもの。リーダーにあるべきカリスマ性すら感じてしまう。同作屈指の名シーンである。

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