荒木飛呂彦氏による漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズは、全世界でコミックス累計発行部数1億部を超える日本を代表する作品だ。今年で連載開始から35周年を迎え、2021年に第8部となる『ジョジョリオン』が完結。最新シリーズである『JOJOLANDS(仮)』の開始も告知されており、その世界はまだまだ広がっていきそうだ。
イギリスから始まり、日本にエジプトにイタリアなど、世界各国を舞台にした冒険が描かれてきた同シリーズ。熱心なファンの間では、好きなシーンについての話題は鉄板だと思うが、筆者が個人的に好きなのが海外の「料理」が出てくるエピソード。話の展開にメインで絡んでくるケースは稀だが、細かい部分でたびたび登場する『ジョジョ』の料理たちは非常に美味しそうで、しかも珍しいものが多かった。長寿作品ということもあり、子どもの頃に読んで「ジョジョで初めて知った海外の料理」というのも少なくないのではないだろうか。
そこで今回は、ジョジョに登場する料理に焦点を当て、作中での内容とともに紹介していきたい。
■「インク入りのスパゲッティーを食わせようってのかァああ~ん!?」
まずは第2部に登場したイカスミパスタだ。現代でこそ当たり前な料理で、レトルトのパスタソースなども購入可能なイカスミパスタだが、1988年の連載当時の日本には本格的なイタリア料理店でないと出されていなかったメニュー。爆発的にブームとなり、「イカスミまん」や「イカスミポテトチップス」なんてものまで販売されるようになったのは90年代に入ってからで、ジョジョ2部での描写は少し時代を先取りしていたと言えるだろう。
『ジョジョ』では第2部、ジョセフ・ジョースターが柱の男を探すためにローマを訪れた際、食事をしようと入ったホテルのレストランで出された料理がイカスミパスタだった。
ジョセフはイカスミのパスタを食べたことが無かったので、真っ黒のパスタが運ばれてきたときにウェイターに食って掛かる。このシーンでの「このホテルはインク入りのスパゲッティーを食わせようってのかァああ~ん!?」というジョセフのクレームは同作の中でも珍名言のひとつだが、当時の筆者はそんな料理があることすら知らず、ジョセフがあまりの美味しさに感激し予想外の反応を見せるこのシーンが印象的だった。