■石化し、風化させられ、砕け散る…「ダイアラックの町人」
主人公たちがダイアラックの町を訪れると、そこはすでに廃墟と化しており、石化した人々がところどころに立っている。その原因はあめふらしという魔物の呪いによって降らされた「灰色の雨」だ。石化してもすぐに亡くなるわけではなく、長時間石化し続けて風化してしまうと、元に戻す手段がなくなってしまう。
唯一の生き残りだった老人・クレマンがやっとの思いで手に入れた石化を治す薬「天使の涙」を使用しても、彼らが元通りに戻ることはなかった。
さらに、1人の町人にいたっては、主人公が彼の記憶を見終わると、砕け散ってしまう。『ドラクエ7』はキャラクターは2Dで表現されていたが、いかにデフォルメされた世界であっても、この事態に言葉を失ったプレイヤーも多いのではないだろうか。
このシーンが最新のグラフィックでリメイクされたら、まず冒頭の描写から恐怖に慄くことになるだろう。廃墟の中で、石化した人々が佇んでいるのだ。さらに、町人が砕け散るシーンやせっかく集めた「天使の涙」を使用しても元に戻らなかったときのクレマンの絶望などが鮮明に描かれることを思うと、考えるだけで胸が痛くなってしまう。
■はりつけられ、火あぶり寸前に…「レブレサックの神父」
筆者が個人的に最も見たくないのが、レブレサックの神父の事件だ。主人公たちがレブレサックを訪れると、村人たちから濃霧に封じられていることを教えられる。その濃霧は、教会に閉じこもっている魔物が原因だと村人たちは疑っていた。
しかし実は、その魔物は呪いによって姿を変えられた神父だった。神父は、「おまえの生きているかぎりは村をおそわずにいてやろう」という取引に応じ、ボトクという魔物と見た目が入れ替えられていたのだ。
主人公たちがボトクを倒し村に戻ると、神父はすでに磔にされており、火あぶりにされる寸前だった。ボトクを倒したことで、やっと神父は姿を取り戻すことができ、処刑を免れることができたのだ。
このシーンが美グラフィックでリメイクされたら、人間の恐ろしさや狂気が全面に表現されることになりとても恐ろしい。特に、村人全員で結託して無抵抗の神父を磔にし、火あぶりにするシーンなど、考えるだけでも恐怖で息を飲んでしまうだろう。
今回は、『ドラクエ7』における哀しく恐ろしいサブキャラたちを紹介した。ここまで振り返ったが、2Dであってもこれだけ印象や記憶に残っているシナリオなのだから、わざわざ美グラフィックでリメイクする必要もないのかもしれない。しかし、もし美グラフィックでリメイクされることになったら、いちファンとしてはどのように描写されるのかに期待してしまうだろう。