■『ザ・ファブル』より、クマとの戦い方

 次に紹介するのも、登山趣味のある人は覚えて損はなさそうなサバイバル術。「クマ」に出会ったときの対処法だ。

 これは南勝久氏による漫画『ザ・ファブル』で描かれたエピソード。ファブルこと凄腕の殺し屋・アキラは、幼少期より山籠りをして野生的感覚を鍛えており、大人になった現在も定期的に身一つで山に登っていた。

 山の中で何も持たずに数日過ごすということが目的で、アキラからすると普段から行っている訓練なので余裕だったが、このときは舎弟のクロが同行していたため、はっきりと足手まといになっていた。

 そんな中で野生のクマが2人の目の前にあらわれる。クロが動揺するしかできないでいる中、アキラは両手を広げて「ゴォワー!」と大声で叫び、側にある木を蹴り上げて威嚇する。クマから目を離さず後ずさりすることもしない。それによって自分を大きく見せることができ、クマは大人しく森の奥へと帰っていくことになったのだ。

 アキラは事前にクマと出会ったときの対処法も教えていたが、分かりやすくクマの撃退法を実践していた。読者もこうすれば良いのか……とクロと同じように思ったはずだ。このあとアキラは、クマを追い返しただけでなく山中で捕まえたマムシの毒を使って即席の毒槍を作り「人間を怖がるように」とクマに攻撃を与えていた。そこまではできなくとも、クマは山や森に生息する身近な動物でもあり、遭遇する可能性は十分にあるので、彼の見せた対処法は覚えておいて損はないと言えるだろう。

 他にも松の葉を拾ってお湯に入れると栄養価の高いお茶になるというものもあったので、こちらも山で過ごすときの参考になると思った。

 

 普通に暮らしていると、危機的状況に陥ることはそんなにないだろう。しかし、偶発的に生死を分けるような状況が訪れることもあるのだ。そんなときに知識としてサバイバル技術を持っていると生存率も上がると言えるだろう。漫画ではそれを分かりやすく教えてくれるので、作品を楽しみながら習得してはいかがだろうか?

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