1996年に作者の藤子・F・不二雄氏が亡くなってからも、今なお多くの人に愛されている国民的作品『ドラえもん』。のび太を取り巻くジャイアンやスネ夫など、なじみの深い魅力的なキャラたちが多く登場し、ほのぼのと安心感のあるストーリーを繰り広げる様子にいつもほっこりしてしまう。
しかし実は、アニメ『ドラえもん』に登場しているものの、ぱったりと見かけなくなったキャラが存在するのをご存じだろうか……? 今回は、知られざる「見かけなくなったキャラ」を紹介したい。
■謎の少年…のび太の4人目の仲間「安雄」
主人公・のび太の友達といえば、ジャイアン・スネ夫・しずかの3人を思い浮かべる人がほとんどだろう。しかし、実はアニメには“4人目の仲間”が登場している。その名は「安雄」という。
安雄は、1979年4月2日に放送された『ドラえもん』第1話目「ゆめの町 ノビタランド」にのみ登場したかなりのレアキャラ。いつもの空き地でさりげなくジャイアンやスネ夫と並んでいた彼は、ひょろりとした背丈で青色の帽子をかぶり、なんとなく“地味な子”という印象である。
この安雄の詳しいプロフィールは現在も謎のままなのだが、原作にはいないアニメのオリジナルキャラだったようだ。セリフは「いっぺん道の真ん中で寝てみたかった」と、たった一言。それ以降、アニメに登場することは一切なかった。もしかしたら、ジャイアンやスネ夫など、個性が強いキャラのなかで薄れてしまったのかもしれない。
ここまでぱったりと存在が消えてしまう背景には「何か大人の事情があったのか?」と、つい要らぬ想像をしてしまうが、はたして……。
■スネ夫の弟…骨川家の4人目の家族「スネツグ」
メインキャラクターのスネ夫の弟・スネツグもまた、見かけなくなったキャラとしてファンの間では有名である。
アニメでは2006年5月5日「スネ夫の弟登場!? スネ夫は理想のお兄さん」で初登場し、当時、“スネ夫の弟”がトレンドになるほど、視聴者を驚きの渦に巻き込んだ。
まるでスネ夫を小さくしたようなそっくりな見た目のスネツグは、スネ夫を「おにいたん」と呼び慕っている素直ないい子。アニメでは米国育ちならではの英語混じりの話し方をするなど、礼儀正しい弟として描かれていた。
原作ではコミック40巻「スネ夫は理想のお兄さん」でニューヨークの叔父の養子として初登場しており、ほかにも『ドラえもんプラス』3巻「アリガターヤ」や大全集4巻「お返しハンド」などで姿を見せたが、なぜか途中からぱったり出てこなくなってしまう。
この件をとある視聴者が制作側に問い合わせたところ、どうやら作者の藤子・F・不二雄氏がスネツグの存在を忘れてしまっていたことがわかったらしい。その後“養子”の設定にすることで“滅多に登場しないキャラ”の位置付けを獲得し、ことなきを得たというわけだ。
メインキャラクターであるスネ夫の弟なのでジャイアンの妹のジャイ子ぐらい目立っても良さそうなものだが、次々と出てくるキャラクターに埋もれてしまったのかもしれない。