多種多様な漫画のなかには、主要な女性キャラが存在しないという作品も存在する。その理由としては、漫画の内容にそぐわなかったり、女性キャラを出す必然性がなかったりと、さまざまな要因が考えられる。なかには作者が女の子をうまく描けない……といった理由もあるかもしれない。
そして女性キャラが登場しないからといって作品に人気がないワケではなく、男だらけでも成功している漫画作品はたくさんある。そこで今回は、個人的に大好きな男だらけの人気漫画を厳選して紹介していきたい。
■命懸けのギャンブル漫画『カイジ』
最初に紹介するのは、福本伸行氏による『カイジ』シリーズだ。累計発行部数は2100万部を超え、アニメや実写映画などにもなっているギャンブル漫画の金字塔である。同作の面白さは、主人公のカイジがいろんなギャンブルを攻略すべく試行錯誤する過程にあり、勝ち組の人間を大逆転する展開は爽快だ。
そんな『カイジ』は、ほぼ女性キャラが登場しないのが特徴。名前つきの女性キャラといったら、カイジと一緒にパチンコ勝負をした“坂崎のおっちゃん”の愛娘「美心」くらいで、それもヒロインなどではなく、脇役の中でもかなり雑な扱いである。
『カイジ』に女性キャラがほとんど登場しない理由は、やはり“負ければ即破産”、ときには命を落とすような鉄火場が舞台になっていることが考えられる。大金を持つとことんゲスな男を倒すからこそ、読者としては「よくやった!」と共感できる面はある。それにヒリつくようなギャンブルの栄光とどん底を描くには、男だけのほうが都合が良く、読者的にも感情移入しやすいのかもしれない。
■男だらけの漫画の代表『魁!!男塾』
続いて紹介するのは、宮下あきら氏による『魁!!男塾』。累計発行部数は2700万部を誇り、80年代中盤から90年代にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された人気作品である。この漫画も女性キャラはほぼ出てこない。タイトルにもなっているように、男を磨くための過酷なスパルタ教育が施される“男塾”が舞台のためだろう。
塾長の江田島平八を筆頭に、鬼教官がズラリと肩を並べ、不良たちの肉体と精神を鍛えるために、まるで地獄のような訓練を施す。最初は不良更生のシゴキがメインストーリーになっていたが、途中からは上級生や他校とのバトル漫画へと路線が変わったのも印象深い。
中国拳法を始め、各国のさまざまな武術の達人が登場し、特殊な決闘方法や奇策によって相手を倒すアツい展開が繰り広げられる。しかも毎回男同士が血みどろになって命がけで戦うのだ。そのあたりも女性キャラがほぼいない理由かと思われるが、作者の宮下あきら氏は、女性キャラを描くのが苦手ということを明かしている。
ちなみに宮下あきら氏の別作品『激!!極虎一家』には、枢斬暗屯子(すうざんあんとんこ)という女子高生が登場。この強烈なキャラクターを見れば、『男塾』に女性キャラがほぼ登場しなかった理由が分かるはずだ。