10月16日から、山﨑賢人主演の日曜劇場『アトムの童』(TBS系)が放送開始された。「インディーゲーム」を題材にした作品で、潰れかけの玩具メーカーと若きゲーム開発者がともに奮闘する姿が描かれる。この作品ではじめてインディーゲームという言葉を知り、興味が湧いた人もいるのではないだろうか。
そこで今回は数ある名作インディーゲームのなかから、“世界観強め”&“操作の難易度低め”のおすすめ3作品を紹介していく。初心者も遊びやすい、けれどやりごたえのあるものを厳選したので、この機会にぜひチェックしてみてほしい。
■そもそも「インディーゲーム」って?
「インディーゲーム」とはインディペンデント・ゲームの略で、ざっくり言ってしまえば、少人数・低予算で開発されたゲームのことをいう。(明確な定義はなく、例外もある)
開発者がリスク度外視でやりたいことをやれるため、独創的かつ革新的な作品が多いのが魅力だ。万人受けはしなくとも、ハマる人はとことんハマってしまう、それがこのジャンルの素晴らしいところである。
ちなみに『アトムの童』のなかに出てきた『Downwell』は実在する有名作品で、ゲーム開発者・もっぴん氏がひとりで、しかも独学で開発したものだ。シンプルでありながら奥深いゲームなので、難易度は高めだがおすすめである。
■“第四の壁”を破る演出にドキッとする『OneShot』
インディーゲームスタジオ・Future Cat LLC による『OneShot』は、太陽が失われた土地で目覚めた主人公・ニコとともに、世界に光を取り戻すため冒険するという内容のゲームだ。ジャンルとしてはパズルアドベンチャーで、探索と謎解きをしながらストーリーを進めていく。
最大の特徴は、キャラクターが“第四の壁”を破ってくることだろう。第四の壁とはもともと演劇用語で、舞台と客席を分ける境界を表す概念である。言い換えれば、フィクションと現実を隔てる見えない壁ということだ。
ニコは作中で救世主として使命を受けるのだが、それと同時に彼を導く“神様”の存在について明言される。神様、それは私たちプレイヤーのことだ。ニコはプレイヤーの存在を“別世界にいる誰か”として認識しており、ことあるごとにコミュニケーションをとってくる。
フィクションと現実がリンクしていると錯覚してしまうような演出が散りばめられていて、メタフィクションが好きな人には刺さるはず。ゲームという形だからこそ叶えられる表現の数々に、ぜひ注目してほしいところだ。7時間ほどでサクッと遊べるが、クリア後は壮大な物語を読んだ後のような気分になれるだろう。
■幻想的で美しい世界観に浸かりたい『アンリアルライフ』
hako生活氏『アンリアルライフ』は、記憶を失くした少女・ハルが主人公のアドベンチャーゲーム。謎の街で目覚めた彼女はしゃべるAI信号機“195”と出会い、唯一の手がかりである“先生”を探すため、不思議な旅に出る……という流れだ。
本作は探索や謎解きがメインで、複雑な操作は必要ない。作品全体を通してダークで幻想的な雰囲気があり、グラフィック面にもこだわりが感じられる。色使いが印象的なドット絵で、青を基調とした美しい世界に思わず見入ってしまう。
また、ハルと195をはじめとした、個性的なキャラクターたちも魅力のひとつ。しゃべるマリモやペンギン駅員、天才ネズミなど、登場するキャラの愛らしさやあたたかみにきゅんとすることも。
ただ、ストーリーには不穏さが漂っており、ところどころでホラーのような要素も。ハルと195のやりとりに癒やされつつ、展開が進むごとにヒヤリとする……そんな緩急もあり、先が気になってどんどんプレイしたくなる作品だ。クリアまでにかかる時間はおよそ7時間ほどだが、やりこみ要素もあるのでより長く楽しめる。幻想的な世界観にどっぷり浸かってみてはいかがだろうか。