■野生の本能と機械の融合…「ラット」

 日本を舞台にした第4部でも機械仕掛けのスタンドが登場する。

 主人公・仗助たちと対峙したのは、第3部の「ストレングス」同様、野生動物が本体となったスタンド「ラット」である。本体はスタンド名がずばり指し示しているように、なんと町の郊外に生息するドブネズミであった。スタンド像は金属製の脚に支えられた巨大な頭部と、カメラレンズのような一つ目を持つ小型のロボットのような外見をしている。

 攻撃方法もまさに機械的で、変形することで長いバレルを持つ銃身を取り出し、そこから発射される針によって獲物を攻撃する。この針にはスタンドすらどろどろに溶かしてしまう毒が付着しており、数発被弾しただけで人間程度ならば全身を溶かし切ってしまう。

 その強力な能力もさることながら、作中ではドブネズミが持つ俊敏さや、獲物から身を隠す知恵など「野生」が持つ生存本能との組み合わせで、仗助たちを苦しめた。無機質な外見とは裏腹に、食料として相手を捕食しやすくするために溶かすという、なんとも生々しい能力を有した強敵である。

 

 本体となる存在の精神性によってその姿を変える「スタンド」だが、人間の形だけでなく機械仕掛けの姿をしたものも作中では多数登場する。

 我々が日常で目にする乗り物を模したものや、ロボットや武器の形をしたものなど、その種類はさまざまだ。見慣れた道具の姿をしていながら、それでいて我々の常識外の動きや攻撃を繰り出す姿は、『ジョジョ』におけるスタンドバトルの見どころの一つとも言えるだろう。

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