『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する「機械仕掛けの不気味なスタンド」3選 “船”や“車”、“ロボット”など常識外の“生きた機械”とはの画像
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 1986年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載を開始して以来、その独特の世界観で常に読者を魅了し続けてきた人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』。作者、荒木飛呂彦氏の圧倒的な画力で描かれる独自の世界観に、いまだなお魅了されるファンが後を絶たない。

 そんな『ジョジョ』のなかでもとくに有名なのは、登場人物たちの精神力によって生み出される魂の像(ヴィジョン)、「スタンド」を用いた能力バトルだろう。持ち主によってさまざまな見た目で現れるスタンドだが、今回はそのなかでも「機械」の要素がふんだんに盛り込まれた特徴的なスタンドについて紹介していこう。

■本体はまさかのオランウータン?…「ストレングス」

 作中で初めて機械仕掛けのスタンドが登場したのは、スタンドバトルが本格化した第3部の序盤である。旅のなかで船を失い、海を漂流する一行の目の前にそのスタンド「ストレングス」は登場した。

 一見すると見た目は“巨大な貨物船”なのだが、驚くことにこの船そのものがスタンドであり、そのスケールの大きさに誰もが実物の船であると錯覚してしまうほどである。サイズや外観も驚愕だが、本体のスタンド使いがオランウータンである点も、読者を驚かせた点だ。フォーエバーと名付けられたオランウータンは船内の檻のなかでのんびりと暮らしているのだが、高い知能を使って承太郎一行の抹殺を企てる。

 タロットカードでは「力」の暗示を持つ「ストレングス」だが、その攻撃方法は実に多彩。クレーンを操作して人間を宙吊りにしたり、プロペラを吹き飛ばして相手に突き刺すなど、貨物船を構成するすべての物が本体であるフォーエバーの意のままなのである。無人の貨物船のなかで、一人、また一人と殺されていくその異様な光景から、貨物船というよりも“幽霊船”というワードを彷彿とさせる、なんとも不気味なスタンドだった。

■悪路も壁も問題なし…「ホウィール・オブ・フォーチュン」

 続いての機械仕掛けのスタンドも『ジョジョ』第3部の旅中に登場したもの。インドからパキスタン国境へと向かう荒れた山岳路にて、一行の運転する車の背後に奇妙な一台が追走してくるのだが、実はこの車こそ新たな刺客・ズィー・ズィーの操るスタンド「ホウィール・オブ・フォーチュン」であった。

「運命の車輪」の暗示を持つこのスタンドは、普通車サイズなのに戦車並みの馬力を持つだけでなく、狭い場所に逃げ込んだ承太郎一行を車体をめちゃくちゃに折り曲げながら追いかけてきたり、車にスパイクを生やして崖を上ってくるなど、とんでもない戦法を仕掛けてきた。

 また、ガソリンを圧縮して弾丸のように飛ばすなど、近距離、遠距離のどちらも対応できる攻撃手段を備えた隙のない能力で、まさに「なんでもあり」の万能さなのだ。

 一行を大いに追い詰めたこのスタンド。本来、車が苦手とする地形をものともせず、見た目や形を変え迫ってくるその姿は、機械というよりも新たな「生物」を連想させた。普段我々が使う自動車をモチーフにしつつ、予想外の戦い方を見せたなんとも斬新なスタンドである。

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