■憧れの下宿先『魔女の宅急便』のグーチョキパン店

 魔女として独り立ちするために旅に出た13歳のキキが、相棒の黒猫・ジジと移り住む町を探し、一人前になるために奮闘していく『魔女の宅急便』。

 本作で、キキが移住先に選んだのが美しい町並みが魅力的な海の見える町・コリコだった。そこでキキは「グーチョキパン店」というパン屋を営む、おソノさん夫婦と出会う。

 キキを気に入った妊婦のおソノさんは、お腹が大きくなって思うように動けないこともあり、店番などの手伝いをしてもらえば部屋代は無料、と空き部屋を提供してくれた。さらに、キキが開業したばかりの“空飛ぶ宅急便”の窓口としてパン屋の電話も無償で使わせてくれ、おまけに朝ご飯もつけてくれる……と、このうえなく良い条件で住まわせてくれるのだ。

 キキの部屋は屋根裏のような場所で、広々としたワンルーム。キッチンやベッドもついており、1人暮らしには十分な造りだった。

 部屋を掃除し「暮らすって物入りね」なんてこぼしながら、フライパンなど調理器具や食器を揃えていくキキ。”初めての1人暮らし”にどこかワクワクしているようにも見えるキキの様子は、1人暮らし経験者にとっては共感できるシーンだと思う。

 海が見える素敵な町で優しい人たちに出会い、無償で部屋を貸してもらうなんてミラクルはなかなか起こらない。さらに“空を飛べる”という特技を活かした仕事に就き、良い人たちとともに暮らすキキの自由気ままな生活は、忙しい喧騒を生きる現代人にとってはいつ見ても憧れの生活だと思う。

 

 ジブリ作品にはキャラクターたちが住む、魅力的な家がたくさん登場する。デザインだけではなく、”まっくろくろすけ”が住んでいたり、家自体が移動したりなど、現実ではありえないようなものもある。

 子どものころに「こんな暮らしができたら」と想像した人は多いと思うが、大人になってあらためて作品を見てみても、一度は住んでみたい家ばかり。この唯一無二の住まいもまた、ジブリ作品が老若男女問わず人気な理由のひとつかもしれない。

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