ジブリ作品には、思わず憧れてしまうような家での暮らしが描かれている。かわいいデザインだったり、不思議なギミックが隠されていたりと、その魅力はとどまることを知らない。そこで今回は、ジブリ作品に登場する家のなかから「こんなところに住んでみたい!」と憧れてしまう家を紹介していこう。
■お化け屋敷のような『となりのトトロ』の草壁家
“トトロ”という不思議な生き物と少女たちの出会いが描かれた『となりのトトロ』。ストーリーの面白さ、親しみやすいキャラクターはもちろん、豊かな自然のなかでの暮らしに羨ましさを感じた人は少なくないだろう。
本作に登場する草壁一家は入院をしている母親の療養のため、空気の綺麗な土地に家族で引っ越しをし、父・タツオと娘・サツキとメイの3人での生活を始める。だが、新しい家はあちこちにガタがきている”お化け屋敷”のような古い家だった。
今にも崩れそうな家の柱を見て、テンションが上がっていく子どもたち。家を探検がてら2階にたどり着くと、メイはそこでふわふわと飛ぶ奇妙な妖怪、“まっくろくろすけ”に出会うのだ。
何かの気配を感じて「やっぱりこの家、何かいる」と言うサツキの言葉に、「お化け屋敷に住むのが 子どもの時からお父さんの夢だったんだ」と嬉しそうな様子を見せていたタツオ。
そんな“お化け屋敷”のような草壁家の家だが、とても広大な敷地に建てられており、日本家屋と洋間をつなげたようなかわいらしいデザインになっている。洋間にあるタツオの書斎は庭に面した開放的な造りで、日当たりも抜群。さらに、かまどつきの広いキッチンに懐かしの五右衛門風呂。庭の井戸からは綺麗な水も湧き出ていた。
田舎暮らしの人気が高まるなか、あらためて「草壁家」を見てみると非常に魅力的な暮らしに思える。実は宮崎駿監督も『ジ・アート・オブ となりのトトロ』で「自分たちの住みたい場所を作ろうと思った」と語っているが、井戸水で洗濯をし、自然のなかで生き物と遊びながら暮らすという、現代の日本では失われつつある生活スタイルに憧れを抱く人は多いのではないだろうか。
■ロマンがいっぱい!『ハウルの動く城』の移動する魔法の城
奇妙でありながらも、ロマンがたくさん詰まった『ハウルの動く城』も興味深い住まいだ。
ある日突然、荒地の魔女の呪いによって90歳の老婆に姿を変えられた主人公・ソフィー。数奇な運命を辿ることになった彼女は生まれ育った家をあとにして、荒地に現れた“ハウルの動く城”に住み込みで働くことになる。
鉄クズのようなさまざまな部品が寄せ集めて作られたこの城は、顔のようなものと4本の足がついており、なんと歩いて移動することができるとても変わったデザインだ。
内部は外見からは想像がつかない広々としたスペースがあるのだが、なかでもとくに魅力的だったのは玄関扉。4色のルーレットのようなものがついており、クルクルと回ることで扉を開けた先が変化する。まるで『ドラえもん』に登場する「どこでもドア」のようなこの扉は、港町へすぐに買い物に行けたり、荒地で盛大に洗濯物を干したりと便利な使い方もできる優れものだ。
そして、この城を動かす原動力が、魔法使い・ハウルと契約を交わした城に住む火の悪魔・カルシファー。城の内部にある大きな暖炉にいて城を移動させるほか、火を起こしたり湯を沸かしたりと、自家発電を可能とする存在なのである。(カルシファーが城の外に出ると城は崩壊するというリスクもあるが……)
宮崎駿監督は「この城はキャラクターなのです」と言っていたそうだが、城自体が移動し、さらに扉一枚で移動ができるこの城に実際に住めたら、毎日がとても便利になることだろう。