■ヘアスタイル、服装、名前、どれもインパクト大!「田最環」
部が進むごとにファッションセンスの奇抜さが増していくのも『ジョジョ』の特徴なのだが、最新の第8部『ジョジョリオン』にも、奇抜さの塊のようなキャラが登場する。
主人公が居候している東方家の長女・鳩が、ある日唐突に奇抜な彼氏を連れてくる。その彼の名前は田最環(だもたまき)といい、“ダモカンクリーニング店”を経営する自称23歳。しかし、見た目はどう見ても中年で、長く伸ばした髪で薄い頭部を無理やりごまかしているようにも見える。また、ほどよくついた肉のせいで顎もなく、主人公の定助もどう形容すべきかコメントに困っていた。
グラサンに髭、そしてサックスがでかでかとプリントされたジャージ……と、奇抜さをこれでもかと盛り込んだ田最だが、しかしその正体は東方家を探りに来た敵であり、スタンド「ビタミンC」の能力を用いて、たった一人で東方家を全滅寸前まで追い込むのである。
見た目、服装、「ダモカン」という呼びやすい愛称と、シンプルながらも強力で覚えやすいスタンド名から、作中でもとくに印象に残るキャラだったのではないだろうか。
“波紋”や“スタンド”といった特殊能力を用いたバトルはもちろん、荒木氏の画力によって描かれる奇抜なキャラや、そこから生み出されるポージングなども『ジョジョ』を語るうえでは欠かせない要素の一つだ。
常識的には考えられないほど奇抜な見た目のキャラたちは、なぜか『ジョジョ』の物語のなかではいたって普通に見えてくるもので、場面場面にキャラが溶け込み、“そこにいる”という説得力をもたらしてくれる。これもまた、作者が作り上げる「奇妙」な世界観のなせる業なのかもしれない。